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2人の生活3

「ふー。やっと荷物の搬入終わったな。後は荷解きか。ゆっくりやっていくか」 「そうだね。引っ越しってほんとに大変だね」 「だろ? でも、もし今度引っ越すなら賃貸じゃなくて持ち家を買ったときがいいな」 「そうだね。家賃を払い続けるならローンを払い続ける方がいいよね。賃貸じゃいくら払ったって自分のものにはならないからね」 「そ。そのために頭金となるものを貯金してるから。悠もあるんじゃない?」 「家の頭金っていうわけじゃないけど、それなりには貯めてるのかな?」 「じゃあそのうち2人で住む家買いたいな」  そう言うと悠は真っ赤になった。  2人で住む家と言っただけでなんで赤くなるのかわからないけど、どうもこの手の会話には慣れていないらしい。  付き合って思ったことは、悠は根っからのゲイだけど結構男同士でなにかをしたりするのは恥ずかしいらしい。  付き合うのは特に恥ずかしくはないみたいだけど。  その点、ノンケだった俺の方が恥ずかしくはない。もしかしたら、それは承知の上で付き合い始めたからかもしれない。  恥ずかしがる必要はないだろうと思うけど、恥ずかしがっている悠は可愛いから敢えてなにも言わない。 「悠はほんと可愛いな」 「なんで。この会話で可愛いとかなんで出てくるの?」 「顔真っ赤にしてるの見てみろよ。可愛いって言いたくなるって」 「だって、2人で住む家って言ったらまた2人で家を見に行かなきゃいけないじゃん」  そうだ。忘れるところだった。部屋探しで2人で家を見て回っているとき、2人で見に行くことが恥ずかしいと赤くなっていたんだった。  悠いわく、「2人で住むんだって宣言してるみたいで恥ずかしい」らしい。 「なんで立樹は平気なの? ノンケでしょ」 「そうだけど。悠と付き合う時点で色々考えたからかな? 逆になんで悠が恥ずかしいのかわからない」 「だって洋服買いに行ったりするのと違うんだよ」 「ま、違うだろうな。家は2人のなんだからさ。まぁ、今はそれを乗り越えたわけだから。とりあえずいいんじゃん?」 「うん」 「まぁ、今日は少し荷ほどきしてから夜はピザかなにか取ろうか?」 「ピザとビール!」 「禁断の組合せな気がしなくもないけど、たまにはいいか」 「やった!」  そう言ってそれぞれに荷解きをしていった。  取り急ぎ通勤に必要なものを先に荷解きをした。それから部屋着や私服。小物。でも、唯奈との結婚で引っ越してから一年も経っていないから荷物はそれほどなかった。  疲れたしコーヒーでも飲もう。 「悠は終わりそう?」 「もう少しで終わる」  悠も持ってくるのは最低限のものにしたようなのでそれほど荷解きに時間はかからないようだ。もし必要となったら取りに帰ればいいだけだし、実際に暮らしてみるとそれほど必要なものって少ない。 「コーヒーでも飲もう」 「うん」  コーヒー豆をセットし、コーヒーが落ちるのを待つ。  これから始まる2人の生活が楽しみで仕方ない。今までは週末だけだったけど、これからは毎日だ。  家に帰れば悠がいる。  職場だってさほど離れてないから朝は一緒に通勤する。そんな毎日が楽しみだ。 「コーヒー落ちたぞ」 「うん」    入ったコーヒーをお揃いのマグカップに淹れる。こんなことだって毎日になるんだ。そんな些細なことが楽しみだ。  唯奈との結婚では特に考えなかったことが悠とだと考える。この違いはなんだろうと考えて、やっぱり悠のことがほんとに好きだからだろうなと思う。  2番目に好きだからなんてダメだったんだ。男同士で付き合うハードルが高いとか思ってたけど、それを乗り越えてしまえば毎日がどれだけ楽しみか。  ほんとなら唯奈と感じるべきものを今感じている。毎日悠といられること。それがほんとに楽しみで仕方ない。  そして、さっき悠に言ったけれど、そのうち2人で住む家を買いたいっていう気持ちがある。悠はどこまで思っているかわからないけれど、俺はできるだけ若いうちに買いたいと思っている。  でも、それはもう少し先の話だ。まずはこれからの生活だ。これからの生活を楽しみたい。それも悠となら楽しいだろうと思っている。

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