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オマケ

 パートナーシップ宣誓から2年後。  俺たちは2人で住む家を内覧しに来た。  一緒に住んで3年。  パートナーシップ宣誓をして結婚式を挙げてから2年。  一緒に住み始めた頃から立樹が言っていた2人で住む家だ。  2人でローンを組むため、区内で分譲マンションと難しいことを言っていたら2年たってやっと低層レジデンスが建設された。  そのチラシを見た立樹はすぐに不動産会社に電話をし、モデルルームの内覧を申し込んだ。  そして今日がその内覧日だ。  相変わらず俺は2人で内覧するのは恥ずかしいけれど、2人で住む家だから立樹だけに任せる訳にもいかないので一緒に内覧に来た。   「ここのベランダ広くていいね。ハワイのラナイみたいに椅子を置けるよ。中庭が見えるからくつろげる」 「それいいな。キッチンもアイランドキッチンで開放的だし、いいな」  ここは低層レジデンスだ。  最初は中古の高層レジデンスが頭にあったけれど、実際に見てみると、マンションというよりは邸宅という言葉がぴったりくるレジデンスの広告を見てからここが気になったのだ。  ベランダが広いから洗濯物をゆったり干せるし、椅子を置いてくつろぐこともできる。  リビングダイニングも広くて、床暖房もきいているから冬も寒くない。  そして立樹が喜んだのは広々としたキッチンだ。  相変わらず俺は料理が苦手で、立樹が残業で遅くなるときは俺が作るけれど、基本的に料理は立樹がしている。  だから家を見るとなると当然立樹はキッチンをチェックする。俺はどんなキッチンでも構わないので、パッと見て終わりだ。  そして立樹が気に入ったキッチンの隣はパウダールームになっていて、キッチンとはドアで繋がっていてなにかと便利そうだ。  そして部屋は2部屋だけれど、寝室ばりに広いサービスルームが一部屋あるので、そこを書斎として使うこともできる。 「駅からそんなに遠くないし、スーパーやコンビニも近いから生活するのには便利そう」 「セキュリティもしっかりしてるし」 「いいかもしれないね」 「いいな。ここにするか」 「そうだね」 「よし! ここにしよう」  外観がどっしりしていて、そこに一目惚れをした。  そして、広々とした室内を事細かに見て、ここに住んでみたいと2人とも思えた。  そんな風に思える家はそうそうないだろうということで家を探しだしてからわずか2年で理想の家と出会えた。  今、ゲイの俺が考えたこともない未来にいる。  男同士だから一緒に住めれば十分。そう思っていた。だけど、ノンケの立樹は男女のカップルと近いことをと考えてくれて、2人の家まで買う今がある。 「立樹。ありがとうね」 「なにが?」 「ん? 今、すっごく幸せだから」 「なら良かった。俺が一番に考えるのは悠の幸せだから」  そう言って笑う立樹は出会った頃より凜々しくなって、格好良さが増した。  俺は日々、好きを更新している。   「立樹、好きだよ」 「俺も好きだよ」  そう笑いあえる毎日が今は愛しい。  END ◇◇◇◇◇ 最後までお読み頂きありがとうございました! 今までの作品ではほとんどなかった甘々シーンを入れたつもりですが、成功していますか? こういうシーンは書いていて恥ずかしいけど楽しいですね。 今後も書いてみたいと思います。 またお会いできますように...

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