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君との結婚式8

 結婚式を終えた夜、両家族が集まってステーキ店で夕食とした。  ハワイでの結婚式は成功だったようで、お義姉さんはもう一度結婚式をしたい! とまで言って兄さんが慌てていた。  どうもハワイでの結婚式は特に女性に人気だったようで母さんも、立樹のお義母さんもハワイでのガーデンウエディングを気に入ったようだ。  最初はぎこちなかった両家族だったけど、食事とともにお酒が入ると女性3人は楽しそうにしていた。これで仲良くなればいいな。親戚になったのだから。  そんな風に楽しく食事をしたけれどさすがに疲れていて、早めに解散となった。  まぁ、俺と立樹は疲れてるから帰るけど、みんなで2次会をするんじゃないか? それくらいぎこちなさがなくなってきていた。 「今日はお疲れさま。明日はゆっくりしなさい」 「母さん。今日はありがとう」 「いいお式だったわね」 「そう? なら良かった」 「あんた達昨日から忙しくしてるから、私たちのことは気にしないで早くホテル帰って休みなさい」 「うん。そうさせて貰う」 「写真は|優《すぐる》が撮ってたから日本に帰ったら現像して貰いなさい」 「うん」 「立樹さんもお疲れさま」 「いえ。式に出て頂いてありがとうございます」 「息子の結婚式ですもの、出席するに決まってるわ。あら、みんな行っちゃうわ。じゃあね、おやすみなさい」  ほんとに2次会に行きそうなノリでみんな帰って行く。 「じゃあ俺たちも帰ろうか」  そう言うと立樹は俺の手を握ってきた。 「いいだろ。ハワイは同性婚を認めてるし、もう夜だしさ」  そうだ。日本と違ってハワイは同性婚は合法なんだ。たくさんのゲイが結婚している。そう思うと手を繋いでもいいかな、と思う。夜で暗いのもあるし。  そう思って立樹の手をぎゅっと握り返す。そのことに立樹は軽く目を見開いてから甘い笑みを浮かべた。  そうか。俺が恥ずかしがらないでこうすれば立樹は喜ぶんだな。日本に帰っても手繋ぎは無理にしてももっと堂々と隣に立つようにしよう。立樹に喜んで欲しい。 「ちょっとビーチに寄って帰ろうか」 「そうだね」  夜の海は真っ暗で少し怖いけれど、ワイキキのネオンで少しは明るいし何より立樹がいる。だから怖くはない。  浜辺に手を繋いで座って少し話しをする。 「悠。日本帰ったらさ、ほんとに2人で住む家買おう。俺、一生悠と離れる気ないから」 「俺も離れる気ないよ。そうだね。ゆっくり探していこうか。新築? 中古?」 「新築。と言いたいところだけど高いんだよな。だから中古でもいい?」 「もちろん。どっちだって俺たちの家になることに変わりはないじゃん」 「そうだな。まぁ気に入る物件ならどっちでもいいか」 「うん。それに男2人の給料だから少しくらい高くても払えると思うよ」 「確かにそうだな。悠、愛してるよ」  家の話しをしていたのに急に愛を囁かれて慌ててしまう。 「なんだよ、急に」 「んー言いたくなった。で、悠は?」 「そんなの結婚式挙げたんだからわかるでしょ」 「でも、言葉にして」  ふざけているのかと思って立樹の顔をよく見ると、真剣な顔をしているので、ほんとに言葉にして聞きたいみたいだ。  俺にしてみたら結婚したんだからわかるだろ、と言いたいけれど。でも、たまには言ってみようか。 「俺も愛してるよ」  こんな愛の言葉を口にするなんて恥ずかしくて、つい下を向いてしまう。  すると、顎をあげられ、あっと思っているうちにキスをされた。 「ごちそうさま」  そう言った立樹はニヤリと笑っている。 「もう!」 「ほら、帰ろう」  立樹は立ち上がり、俺の手を引く。俺はその手を離さず、ぎゅっと握る。この手はいつまでも離さない。  END 次ページ オマケ→  

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