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番外編2
あっという間に3連休は来た。
宮崎では何をするか考えて、とりあえず今日は足をのばして高千穂峡へ行き、中日の明日は乗馬とゆっくりワイナリーへ行く予定だ。
神話も面白いかなと思ったけれど、どうもパワースポットらしいので、そうなると女性が多いだろうし連休だと人出も凄そうなので一社だけ行くことにした。
「仕事のときは朝起きるの辛いのに旅行に行くってなると起きれるのはなんでだろうね」
今日は向こうの空港に着いたらレンタカーを借りて高千穂峡まで行くので朝早い便でため、朝は仕事の時よりも早く起きたのだが、すんなりと起きれた。いつもはなかなか起きれないのに。
「そんなもんだろ。仕事が好きで楽しいのなら別だろうけど」
「そんなもんか」
「でも、飛行機の中では少し寝た方がいいかも。車の運転もあるし」
「そうだな。ゆっくりは寝れないけど、少しでも寝るようにするか」
空港から高千穂峡までは遠く、車で2時間半ほどかかるため行きは俺が運転し、高千穂峡から宿泊先へは立樹が運転することになっている。
高千穂峡から宿泊先の方が距離があるので、俺が運転すると言ったのだけどそれは却下された。立樹が俺に甘く過保護なのは5年経った今も変わらない。
機内で寝るために搭乗する前に水分補給をし、座席に座ると目を閉じた。寝れるかわからないなと思っていたけど、睡眠不足だったからか目を閉じたらすぐに寝てしまい、気がついたら宮崎空港だった。それは立樹も同じだったようで、2人で顔を見合わせて苦笑してしまった。
空港に着くと真っ直ぐレンタカーを借り、高千穂峡を目指す。空港の辺りは椰子の木が等間隔に植えられていて海外へ来たと錯覚してしまう。
「なんかハワイ思い出すな」
「結婚式思い出す。あれから行けてないけど、また行きたいなぁ」
「そうだな。なんとか休みを取るか」
「俺はまだなんとかなるけど、立樹は難しいんじゃん?」
「飛び石連休のときがあれば有休つけて行くっていう手があるけどな」
「月末月初以外なら俺は合わせられるよ」
「じゃあそんな感じで休みを取るか」
立樹が課長に昇進してから有休は一度も取っていない。それは慣れていないので忙しかったのもある。でも、今はそんなこともないので数日なら取れるかもしれない。
「記念日に行けたらいいな」
「そうだな」
「10周年で行く?」
「あと5年待てる?」
「う〜ん……」
「節目じゃなくてもいいんじゃないか?」
「でも、そしたら10周年はどうするの?」
「それはそのとき考えればいいだろ」
「それもそうだね」
そんなことを話しながら車を走らせる。片道2時間半と距離はかなりあるけれど、話しをしながらならだとそんなに苦にならない。それどころか楽しい。
「立樹ー。お腹空いたー。コンビニで買ったお菓子取って」
今日は朝が早かったから絶対に途中でお腹が空くと思って、コンビニでスイーツを買ってきてある。俺はマロンコロネで立樹は甘いのが得意ではないので肉まんだ。
マロンコロネはマロンクリームとマロンホイップで甘くて幸せな気持ちになれた。
旅行というだけで幸せなのにスイーツ食べたらもっと幸せだ。そんな小さな幸せを感じながら車は高千穂峡を目指した。
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