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番外編11
お皿が片付けられどんなデザートかなと楽しみにしているとまずコーヒーが置かれ、そのあとにホールケーキが出てきた。チョコレートケーキでプレートには『5th Anniversary』と書かれている。
つやつやのチョコレートでコーティングされていて見た目からして美味しそうだ。
「5周年記念だからな。花束も考えたけど旅行中だと大変かなと思ってケーキにした」
「だからお腹あけとけって言ったんだね」
「そう。一番小さいホールにしたけど普通のデザートのケーキよりは多いかと思って」
「もし今食べきれなかったら後で部屋に持ち帰れるかな?」
「大丈夫じゃないか」
「まぁ頑張る。立樹も食べてよ」
「頑張るよ」
多分、俺が今チョコレートにハマってるからチョコレートケーキにしてくれたんだろうなと思う。家でもチョコレートを食べたりしているから。
切り分けられたケーキを一口くちにすると、甘さ控えめな上品なチョコレートの味が口いっぱいに広がった。
「これ、甘さ控えめだから立樹でも食べれると思うよ」
俺がそう言うと立樹はケーキを口に入れた。すると目が見開いて、美味いと言った。
「美味しいよね」
「そうだな。でもチョコレートだから俺は頑張って2ピースいけるかどうかだぞ」
「えー、残り全部俺が食べるの? それこそ部屋に持ち帰らないと無理だよ。立樹も頑張って」
俺がそう言うと立樹はスタッフに部屋に持ち帰れるか尋ねると後で部屋に届けてくれると言うので、できるだけここで食べて食べきれない分は届けて貰うことにした。
「あ! ケーキ、写真撮るの忘れた。その前にスマホ持ってくるの忘れてた」
「気がつくの遅かったな」
「でも、こんなに記念日のプレゼントありがとう。ここに泊まるのも、貸切露天風呂も、この食事もほんとに最高だよ」
「喜んで貰えたのなら良かった」
「っていうかさ、俺だって男なのに立樹になんのプレゼントもしてない」
「悠は喜んで笑っていてくれればいいんだよ。それが俺への最高のプレゼントだから」
「……キザ」
「嫌い?」
「立樹だから許せる」
立樹は俺が喜んでいればいいって言うけど、ちょっと悔しいと思う。小さなことでもいいからなにかすれば良かった。と考えて、今までもなにもしてこなかったと後悔する。となると、ほんとに喜んで笑うしかない。いや、そうしようとしなくても今の時点で十分嬉しくて笑っていると思うけど。
「よし! 食べよう!」
立樹が頼んでくれたアニバーサリーケーキだ。美味しいし、立樹の分まで食べるぞと気合いを入れる。
「そんなに気負わなくても大丈夫だよ」
立樹はそう柔らかく微笑む。
「でも、せっかくのアニバーサリーケーキだよ? 味わって食べなきゃ」
「そう思ってくれただけで十分だよ。そんなことより食べよう」
「うん!」
ここまで5周年記念を演出してくれた立樹に感謝しながら俺はケーキを食べた。チョコレートだけどビターチョコレートだからほろ苦くて結構食べれそうだ。これ、帰ったらダイエット必要かもしれないな。それでも、こんなにしあわせな味で太るのならいいと思えた。
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