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番外編10

 伊勢エビの後は口直しとしてシャーベットが出てくる。さっぱりしていて気持ちいい。  そして口直しの後は旬野菜のサラダと続き、メインの宮崎牛が出てくる。 「牛肉だーー!!」  楽しみにしていた宮崎牛が出てきて思わず歓声をあげてしまう。立樹は大笑いだ。 「そんなに楽しんで貰えて嬉しいよ」 「だってさ、ステーキだよ? ステーキ。牛肉はたまに食べるけど、こういうところで食べる和牛ステーキってさ美味しいじゃん」 「悠はほんと好き嫌いなくなんでも美味しく食べるよな」 「えー嫌いなのあるよ。酢の物。お酢を使ったのは無理」 「でも、素材で嫌いなのってないんじゃない?」 「あぁ、そうかも」  そこで思い出したのは父親の言葉だった。うちは母が好き嫌いが多いので、父は俺にはなんでも食べられるように小さい頃になんでも食べさせたらしい。  もちろんそれで好き嫌いが少ないのかはわからないけれど、俺はたいした好き嫌いもなくなんでも美味しく食べる。そう、お酢を使った料理以外は。 「シンプルな味付けだから牛肉の美味しさが引き立つよね」 「だな」    俺はステーキはシンプルな味付けで食べるのが好きだ。と、そこで思い出した。 「そういえば結婚式のあとに皆で食べたのもステーキだったな。味付けは違うけど」 「そうだな。お祝いっていうとステーキは定番だな」 「お祝い以外でも結構食べに行くことある気がする」 「ちょっとしたときに食べに行くかもな。さすがにしょっちゅうではないけど」 「家でもたまに食べるしな」  でも牛肉の良さは色々だよなと思いながら食べる。  さすがに和牛は高い。だから普段食べる牛肉は海外産の牛肉が多い。でも、美味しいのは断然和牛だ。その中でも宮崎牛は美味しいとされている。  そんな宮崎牛をシンプルな味付けで食べられるのは贅沢だ。  美味しい宮崎牛を食べた後は、やっと食事でご飯、味噌汁、香の物が出てくる。ご飯は一つはガーリックライスだ。 「すいません。取り皿を頂けますか?」  ご飯を分けるために立樹が取り皿を頼んでくれる。そして、ガーリックライスを半分俺の方に、そして普通の白米の半分を立樹の前に置く。  ここまでがシンプルな味付けだったから白米だと少し寂しい気がしていたけど、お米も美味しくて意外とそのままでも美味しく食べれた。とはいえ、にんにくのパンチのあるガーリックライスも美味しいけれど。 「あ、この後のデザートのためにお腹あけておいて」  デザートが出るのはわかってるけど、デザートが仮にケーキだとしても1ピースくらいペロッと食べちゃうけどな、と思いながらも頷いた。  と、頷いたけれど美味しい白米とにんにくに刺激されたガーリックライスでご飯を残すことはなく、ぺろりと全部完食してしまった。 「立樹、ごめん。美味しくて全部食べちゃった」 「ガーリックライスにしたのが間違いだったかな」 「いや、白米も美味しかったよ。いいお米なんだと思う」 「デザート大丈夫か? 甘い物は俺苦手だからな」 「でもケーキ1ピースくらいは食べれるでしょ」 「甘さ控えめならな」 「いいお店では甘すぎるのなんて出ないよ」  そう言って俺は楽観視していた。

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