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第106話 凍夜
(やっぱり凍夜は特別だ。苦い思い出もみんな溶かしてくれた。もう怖くないよ。)
帰って来て凍夜の肩に抱き込まれて甘えている。手を伸ばしてその綺麗な顔を触る。
「こんな事しても怒らないね。」
「なんで、怒る必要がある?」
「レオンの腕のタトゥー、見た?」
「ああ、マスターの背中にも龍の刺青があるんだろう。」
「二人、愛の印なんだって。
ヤマトとタケルにも龍虎の刺青があるよ。
二人の秘密、だって。」
「俺たちも入れるか?
何で人はすぐに誓いの印を欲しがるんだろうな。」
「不安だからだよ。」
「何が不安なんだ?」
キツいくちづけをされた。
「こんなに好きなのに不安にさせるのか。
俺の何が足りないんだ?」
「すごい自信だね。凍夜はいつも自信たっぷり。」
抱きしめたら泣かせてしまった。
「何かが足りない足りないって、オレを不安にさせる。ホストの仕事だって、頑張らなくていいよって言いながら、お店は全部,数字なんだ。」
「ミコトはそんな不安を感じていたのか?
どうしたらいい?」
「優しすぎるの、凍夜はいつも。
凍夜を好きで好きでたまらない人を無情にも棄ててきた。みんな可哀想。
オレが独り占めしていいのかな。」
「ミコトのものだよ。俺の全部。」
抱きしめられて身体中愛されて、その夜は抱き合って裸で眠った。
お互いの肌の温もりを感じて眠った。
また、毎日が続いて行く。日常。
ーおわりー
コンテストに応募するのに文字数が足りなくて
完結したものに付け足して増やしました。
蛇足のような気もしますが。これで完結です。
バンド編もよろしく。
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