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二人のことを身長で測った日から、新と真はそれをするのが楽しくなったようで、毎日のように「やってー!」とせがんでくるようになった。 また何かに興味を持ち、楽しみが増えたのはいいことだ。けれども、毎日測っていても、ほんの僅かしか変わらないのに。 二人がどっちが大きいのだのとちょっとした口喧嘩しているのを、飽きるのはいつ頃になるかと苦笑とも微笑ましいと二人のことを見つめていた。 その微笑ましい光景の中、ふと、その柱の根元辺りに目線を向けた途端、人知れず罰が悪そうな顔をした。 根元から畳にかけて変色している箇所。 それは、葵人が散々吐き出された精液の跡だった。 何度絶頂させられたかは、途中意識が途切れてしまい分からないが、それよりも淫らな声を上げていただろうし、卑猥なものを子ども達が見てないだろうかと、自分の精で汚したところをめざとく見つけては何か言ってこないかと、ここに来る度に内心冷や汗をかいていた。 こんなことを夫に言っても仕方ないが、染みになってしまったし、畳だけでも替えてくれないかと仮に話を持ちかけた時、恐らくこう言うだろう。 「悪いことをした葵には当然の報いだよ。替えて欲しいだなんて、どの口が言っているのかな。⋯⋯まだお仕置きが足りないようだ」 蔑むような視線。けど、どこか愉しげに笑う顔。 そんな顔で見られたら、お仕置きをして欲しくて欲しくてたまらない。 こんなこと、子ども達の前では思ってはいけないのに。母親失格だ。 けれど。その気持ちが相反するように蕩けた顔をするのを、葵人自身は気づかずに。

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