6 / 14
夢見る俺たちのオメガバース (6)
航生はαだ。
発情したΩのフェロモンは、αを強制的に発情状態にしてしまう。
今航生が正気でいられるのは、いつもα向けの抑制剤を飲んでいるおかげだと思う。
でも、きっとその効果も長くは続かない。
航生もそのことをわかっているから、俺から離れようとしてる。
俺を傷つけないために。
俺を守ために。
でも、
「やだっ」
ひとりになるのは怖い。
怖くてたまらない。
だから、
「行かないで……っ」
航生の尖った喉仏が、素早く上下した。
「はあっ……はあ……航生ぃ……っ」
「……抑制剤は?」
「そ、んなの、持ってない……っ」
「……だよな」
俺はβとして生きてきたし、父さんも母さんも、なんなら今は亡きおじいちゃんもおばあちゃんも、みんなβだ。
そもそも需要がなかったのだから、この家に抑制剤はない。
タクシーで病院に連れて行ってもらうこともできるけど、発情真っ最中のΩを初診で受け入れてくれるところは多くない。
Ωの発情期間は、だいたい一週間。
抑制剤がなくても、一週間なんとか耐えられればーー
「理人」
「はっ……っあ、は……っ」
「俺に、どうして欲しい?」
俺を見つめる航生の瞳が、ゆらゆら揺れている。
全身が熱い。
熱くて、ぬるぬるで、とろとろで、わけがわからない。
わからないから、怖い。
怖いから、止めてほしい。
「航生……」
お尻を左右に開き、俺は強請った。
「これ、止めてぇ……っ」
ともだちにシェアしよう!