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夢見る俺たちのオメガバース (6)

 航生はαだ。  発情したΩのフェロモンは、αを強制的に発情状態にしてしまう。  今航生が正気でいられるのは、いつもα向けの抑制剤を飲んでいるおかげだと思う。  でも、きっとその効果も長くは続かない。  航生もそのことをわかっているから、俺から離れようとしてる。  俺を傷つけないために。  俺を守ために。  でも、 「やだっ」  ひとりになるのは怖い。  怖くてたまらない。  だから、 「行かないで……っ」  航生の尖った喉仏が、素早く上下した。 「はあっ……はあ……航生ぃ……っ」 「……抑制剤は?」 「そ、んなの、持ってない……っ」 「……だよな」  俺はβとして生きてきたし、父さんも母さんも、なんなら今は亡きおじいちゃんもおばあちゃんも、みんなβだ。  そもそも需要がなかったのだから、この家に抑制剤はない。  タクシーで病院に連れて行ってもらうこともできるけど、発情真っ最中のΩを初診で受け入れてくれるところは多くない。  Ωの発情期間は、だいたい一週間。  抑制剤がなくても、一週間なんとか耐えられればーー 「理人」 「はっ……っあ、は……っ」 「俺に、どうして欲しい?」  俺を見つめる航生の瞳が、ゆらゆら揺れている。  全身が熱い。  熱くて、ぬるぬるで、とろとろで、わけがわからない。  わからないから、怖い。  怖いから、止めてほしい。 「航生……」  お尻を左右に開き、俺は強請った。 「これ、止めてぇ……っ」

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