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08. 友達とのお出かけ ①

 「僕ね、こうやってオメガのお友達とお出かけするのが夢だったんだ」  そう言いながら隣を並んで歩く飯田(いいだ)くんは明らかに浮き立つ様子で、同じように初めてのおれも自然と足取りが軽くなっていた。  蒼人(あおと)の休学から数日後に声をかけられてから、飯田くんとは学校でちょくちょく話をするようになった。  太陽とは変わらず登下校は一緒だったけど、学校にいる間は飯田くんとの時間が長くなっていた。  一緒に過ごす時間が増えればその分親しくなるわけで、飯田くんに話し掛けられてから二週間ほど過ぎた日の土曜日に、おれ達は初めて遊びに行く約束をした。    「うわぁ……。僕、ゲームセンターって一度来てみたかったんだ!」  BGMと言うには主張し過ぎな音楽と、ピコピコガチャガチャといういかにもゲームセンターな音。土曜日ということもあり、たくさんの人で賑わい、子供から大人まで話し声が混ざり合っていた。  ここは小さな子供も遊べるクレーンゲームから、大人も楽しめるコインゲームまで色々と揃っていた。  おれ達のいるエリアは入口にほど近い、クレーンゲームのコーナー。ゲームセンター初心者にはちょうどよい場所だった。  出かける計画を立てている時に、どこへ行きたい? そう飯田くんに聞いてみたら、『ゲームセンターに行ってみたい』と言われた。  ご両親は厳しい人で、いわゆる娯楽施設という場所には遊びに行ったことがないそうだ。だからちょっとした冒険に出た気分らしい。  おれは蒼人に連れられ何度か来たことはある。けれどこういった空間には正直慣れなくて、いつもなんとなくそわそわしていた。今日も久しぶりに来てみたものの、やっぱり何か落ち着かない。  それでも楽しそうにクレーンゲームをする飯田くんを見ていると、一緒に遊びに来て良かったなと自然と口元が緩んだ。  ゲームセンターで楽しんだ後は、これまた初めてだというカラオケボックスへと来ていた。  カラオケはおれも歌うのが好きで結構頻繁に行っていたから、勝手知ったると手際よく受付を済ませた。  このカラオケボックスは持ち込みも出来るけど、せっかくだからとお昼も頼むことにして、フリードリンクも付けた。種類も豊富だしソフトクリームも食べられる。  早速取りに行こうと二人で席を立ったが、荷物もあるから交代で行くことにした。

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