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10. 突然の出来事 ③

「そう……だね。……友達、だもんね。……一緒に出かけたって、おかしくないよね」  自分に言い聞かせるように、ゆっくりと言葉を繋げてみた。  そうだよ。友達と遊びに行くのに、何も緊張することなんてない。……おれは、何に怯えていたんだ? 佐久くんは、あのときのアルファとは違う。それに、困っているおれを助けてくれたじゃないか。  自分の心に問いただした後、改めてまっすぐに佐久くんの方を見た。   「ふふ。良かった。いつもの由比くんに戻ってきたみたいで。……ごめんね、俺が急に告白なんかしちゃったから」 「あっ──」  ニコニコ笑顔のままで言った佐久くんの言葉で、自分の置かれている状況を改めて思い出した。  そうだよ。さっきはフリーズしちゃったけど、あれって告白なの──!? 「ごめんごめん。ひとまずは、告白のことは保留にしておいて。由比くん、今すぐにでも爆発しそうな顔してる」  クスクスと笑いながら、おれの頭をぽんぽんっと撫でると『じゃあ帰るね』そう一言残して部屋から出ていった。  部屋に一人残されたおれは、ぽんぽんとされた手の優しさと、『告白』の二文字が頭から離れず、その場に立ち尽くしてしまった。  しばらくぼーっとしてると、テーブルの上のスマートフォンがブーブーと振動した。 『さっき伝え忘れちゃったけど、帰ったら電話して良い?』  佐久くんから届いたメッセージに気付くと、自然と口角が上がる。 『うん。帰ったら連絡して?』  すぐさま返事を返す。  これは、テレビドラマで見た恋人同士のやり取りと同じじゃないか? そう気付くと、急に胸がドキドキとはずんだ。  蒼人と二人きりの時は安心はしたけど、こんな風にドキドキはしたことなかった。  もしかしてこれが恋なのか? そんな考えが脳裏をよぎったけど、恋愛など無縁だったおれには、この感情が正しく恋なのか、判断するにはあまりにも経験が足りなすぎた。

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