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11. これはデートなの? ①

「今週末、佐久(さく)くんと二人で出かけることになったから」  学校からの帰り道、おれは太陽(たいよう)に報告をした。  これは小さい頃からの家族との約束で、『近しい人以外の人と出かける時は、ちゃんと家族に報告するように』と、両親や蒼人(あおと)に言われていたから。  今まで家族以外と二人きりで出かけるのは蒼人だけだったし、一般的にはどうかだなんて友達の少ないおれにはよく分からなかったけど、飯田(いいだ)くんと佐久くんによると、過保護すぎるよって反応だった。  かといって出かける報告が悪いとは思わないし、おれは家族との約束を守る。  蒼人が不在の今、何かあったら太陽に言えよと言われてるので、待ち合わせ場所や時間、遊びに行く予定の場所まで伝えた。 「帰りは遅くなりすぎないようにな」  まるで母親のようなセリフを言われ、思わず笑ってしまった。  おれの周りには、過保護なやつしかいないのだろうか。  そして週末。家まで迎えに来た佐久くんと連れ添い電車に乗ると、このあたりで一番大きな駅へ降り立った。  オメガと判明してからは特に、周りの過保護が加速し、あまり電車で遠出をすることもなくなっていた。  多分普通の人からしたら、ここが遠出? ってなるのかもしれないけど、普段滅多に電車に乗らないおれにとっては、ちょっとした冒険気分だ。 「大きな駅だね~」  おのぼりさんみたいに、キョロキョロとあたりを見回し、感嘆の声を上げた。  ここに来ればすべてが揃えられるくらい、色々な施設やら店舗やらが立ち並んでいる。  その中で、駅にほど近い雑貨店へと足を踏み入れた。 「ごめんね、つき合わせちゃって」  どこに行きたいかって話になった時、弟へのプレゼントを一緒に見てほしいと言われた。  もうすぐ誕生日なんだけど、先日パスケースが欲しいと言っていたそうだ。兄弟にプレゼントをあげるなんて優しいんだな……と思い目を細める。  おれも兄弟がいたらそんな感じなのかな? って思うけど、蒼人の誕生日には欠かさずプレゼントをしてるし。やっぱりおれ達は兄弟同然だなぁって改めて思う。  いくつか見て回り、最終的には『浅葱色』のパスケースを選んだ。弟さんの好きな『新選組の羽織の色』なんだそうだ。とてもシックな青で、デザインもシンプルで、使い勝手も良さそうだ。 「佐久くんは、パスケースって使う?」 「使うけど……なんで?」 「お礼がまだだったから、弟さんとお揃いのパスケースを、おれがプレゼントするのはどうだろうって思って」  サプライズでプレゼントをしたほうが喜ばれるだろうとは思うけど、何を選んで良いのかわからない。それなら本人がいる時に、使うものを聞いて買うのが間違いないと思うんだ。

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