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11. これはデートなの? ②

「うーん……」  少し考えた後、佐久くんは、じゃあ……と、ひとつの提案をしてきた。 「今日の記念にもなるし、由比(ゆい)くんとお揃いの物が欲しいんだ」 「おれとお揃い?」 「そう。初デートの記念って感じで、素敵じゃない?」  サラッと言った佐久くんの言葉に、そのまま流されそうになって、はたと留まった。 「えっ? デート? ……なに言って?」 「えっ? て……。これはデートだろ? 俺はずっとそのつもりでいたよ。……由比くんのことがずっと気になっていたって言ったじゃないか。そんな相手と二人きりで出かけて、ただのお出かけだなんて思わないよ」 「だって、告白は保留って……」  急に真正面からぶつかって来られたから、心臓がドキドキと騒ぎ出す。  おれはただ、本当に友達と出かけるのが楽しいって、ウキウキしていたんだ。  けど──。  昨日のメッセージのやり取りを思い出して、あれれ? と思い、言葉に詰まった。  たしかにおれは、昨日、『恋人同士のやり取りみたいだ』なんて考えて、ドキドキしていた。  恋愛経験なんて皆無だから、感情の正解がわからず胸の奥にしまったけど、本当のおれの気持ちって、何? 「ほんと、由比くんは可愛いよね」  色々と考え込んで固まってしまったおれに、佐久くんは更に恥ずかしくなるような言葉を重ねてきた。 「とても純粋で穢れを知らないって感じ。少しずつ俺色に染めていきたいって思っちゃうよ」  ──っ!?  なんだか、今とんでもないセリフが聞こえたような……?  問い返したくても、おれが盛大な勘違いをしていたらと思うと恥ずかしいし。でもこれは、きっと勘違いじゃない。  明らかに距離を詰めてくる佐久くんに、ますますドキドキしてしまう。  やっぱりこれは、恋、なのだろうか──?  「さくく……」  自分の気持ちを確かめたくて、口を開こうとしたその時、佐久くん越しに、見覚えのある姿を見つけた。  いや、見覚えがあるどころではない。見間違えるはずのない人物。 「あ……お……と……?」  佐久くんの肩越し、その先に見えていた光景は、蒼人と……飯田くんが、並んで歩いている光景だった。  二人で顔を見合わせて、楽しそうに笑っている。表情があまり変わらないと言われている蒼人が、おれ以外の前で明らかな笑顔を見せている。  目に入ってきた光景が信じられなくて、中途半端に開いた口は、それ以上言葉を発することなく、錆固まったように動かなくなってしまった。

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