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14. 担当医の話によると ③
けどおれは産まれてすぐから春岡先生のお世話になっている。正確に言うと、蒼人の母親(男オメガ)の担当医なのでまとめて面倒を見てもらっている感じだ。
「これから話すことはね、僕の長年の経験から言うとほぼ確定だと思っているんだけど、臨床データとしてはまだ不十分でね。……だから、あくまでも仮定ということになってしまうけど、医者からというよりも、オメガの先輩からの話として聞いてほしい」
先生は、産まれたときから知っているおれだからこそ、こうやって親身になって話をしてくれる。第二の父親? 母親? ……とにかくそんな感じなんだ。
「本来は、成長して初めての発情期を迎え、そこで初めてオメガとして身体の準備が整うことになる。そこから相手を探すためにそれぞれ皆違う香りのフェロモンを放つようになって、相性の良い相手に出会えたら番契約を結ぶ人達が多い。そうすれば、オメガを守ることが出来るからね」
先生の話を遮らないように、うんうんと頷いてちゃんと聞いてますよとアピールする。
「でも麻琴くんの場合、産まれたときから上位アルファの蒼人くんが側にいた。ずっと麻琴くんを守っていたんだと思うよ。そして麻琴くん自身も、蒼人くんを自分のアルファだと認識していた。……本人たちも無意識に、ね。……けれど産まれて初めて、こんなに長い期間側に自分のアルファ がいなかった。そんな不安定になっているタイミングで薬での強制発情。無意識に自分のアルファを求めるかのように、重いヒートになってしまったと推測されるんだ」
無意識に、蒼人はおれのアルファだって認識していたってこと!?
先生の説明と、無意識の行動と、今のおれの気持ちと、なんだかいっぺんに押し寄せてきた波のようで、次から次へと襲い来るからもう整理することなんて出来なかった。
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