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20. 退院と友達の存在 ①
結局さらに入院が長引き、夏休み終了ギリギリの退院となった。
夏休み最終週にはお疲れ様の息抜きで、四人で一泊旅行を予定していたのに、キャンセルになってしまった。
三人で行ってきてと伝えたけど、四人で行きたいって計画したんだから、また日を改めようって話になったらしい。気を遣わせてしまって申し訳ないな。
退院して帰宅すると、新しい一台のスマートフォンを渡された。
事件の真相が分かるまでは、家族とその他信頼できる人物としか連絡を取らないように言われた。
家族以外だと、蒼人 と太陽 と春岡 先生と連絡が取れるようになっていた。……太陽って、ここまでうちの両親からの信頼を得ていたんだなと、変なところで感心してしまった。
夏休みが明けて学校へ行くと、佐久 くんと飯田 くんが下駄箱で待っていた。
「由比 くん、……もう大丈夫?」
沢山の生徒が行き来する下駄箱で、あの事件のことを大っぴらに話すわけにもいかないので、飯田くんは最小限の言葉だけに留めてくれたようだ。
「心配してくれてありがとう。もう平気。……あ、ごめんね。ちょっと先生の所に寄って行かなきゃならないから、もう行くね」
一緒に登校してきた太陽が、おれの肩をトントンっとして、職員室の方へ指差すから、そこで思い出した。先生への報告と渡す書類があるんだ。
二人に手を振ると、そのまま職員室へと向かう。そして、担任と校長室で話をすることになった。
うちの親から連絡を入れてくれたみたいだけど、それとは別に手紙を持たせてくれた。先生たちはそれを読みながら頷いた。
全てを話すわけにはいかないけど、学校側で気をつけてもらいたい事などが有るからと、ある程度の事の流れは伝えられたらしい。
教室へ戻ると、飯田くんはいたけど、佐久くんはいなかった。アルファなので自分のクラスへ行ったようだ。
「さっきは挨拶もそこそこでごめんな」
視界に入った飯田くんに声をかけたあと、荷物を片付け始めた。夏休み明けなのでいつもより多めだ。
「ううん。それはいいんだけど……。由比くん、送ったメッセージって読んでくれた?」
「……え? メッセージ? ……ごめん、うちの親がこの前のことがあってからすごく心配しちゃってね。退院してからも、スマホ預けたままなんだ。出かけるのもしばらく禁止。せっかくメッセージをくれたみたいだけど、読めてないんだ。ごめんな」
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