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27. 事の真相は ③
おれに近付いて来たのは、目的があったから。
だからはじめは、演技だったのかもしれない。でも、一緒にいる時の楽しそうな飯田くんは、演技だとは思えなかった。本当に、友達になれたことを喜んでいたと思う。
だから、おれのピンチにいても立ってもいられなくなって、出てきて助けてくれたのかもしれない。……自分の立場が危うくなるとわかっていても。
「彼は、佐久星司の婚約者なんだ」
「うそっ……?!」
もうこれ以上驚くことはないのかと思っていたのに、蒼人はまた爆弾を落とすかのような言葉を口にした。
「だから、おれと飯田が婚約したというのも嘘。佐久星司が流した噂だよ」
「なんでそんなことを……」
「傷心の麻琴の隙に付け込もうとしたんだろうな」
いつもおれの側にいた蒼人が、訳あってしばらく離れることになって、そのタイミングで計画が実行されたんだろうと。
「俺がいない間に飯田が声をかけてきたのも、カラオケボックスで絡まれたのも、偶然を装って佐久が助けたのも、それをきっかけにデートに誘ったり告白してきたのも……全てが計画通りだったってことだ」
──告白!
蒼人の言葉に、佐久くんとのやり取りを思い出し、ビクッと身体を震わせた。
そのことも、知ってるんだ……。
おれは蒼人の反応が怖くて、身体に力が入る。自分の本当の気持ちに気付いていなかったとはいえ、あの一瞬だけでも、佐久くんのことが好きかもしれないなんて思ってしまったんだ。
そんな事実、知ってほしくなかった。裏切ってしまった気分になる。
「心配しなくても大丈夫。麻琴の気持ちは、本人が気付くより前に知っていたから」
蒼人はくすっと笑って、おれの髪にそっとキスをした。
「……っ。どう、いういみ、だよ……」
動揺して、言葉が途切れ途切れになってしまう。
おれが気付く前に気付くって変だろ。
「どれだけ一緒にいると思ってるんだ? この世に生を受けたその日から、だぞ? これだけ長く一緒にいれば、それくらい分かるさ」
「そ……そういう、もの……なのか?」
他の人達のことは知らない。
ただ、おれ達は親も呆れるほどずっと一緒だった。
あまりにも一緒にい過ぎて、お互いの存在がなくてはならないということに、気付くのが遅れただけということなのか。
離れることなんて決して出来ない、産まれる前から定められた運命のようなものなのに。おれには、蒼人しかいないのに。
不安になっていた自分が、おかしくなってきて、思わずクスクスと笑いだしてしまった。
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