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27. 事の真相は ②
おそらく、おれが一番ショックを受けるだろう事実を先に伝えてくれた。
蒼人に包まれて守られていたから、衝撃は最小限で済んだんだと思う。
それでも、ダメージはとても大きくて、スーッと涙が頬を伝って落ちてきた。
「麻琴にとってショックなことだと思うけど、この事実だけは伝えないといけないと思ったんだ」
蒼人からおれの顔は見えないはずなのに、頬に伝い降りた涙を拭いながら言った。
「飯田がグルだったと言ったけど、彼にも事情があったんだ。そのことは、分かってやってほしい」
「事情?」
「学校での騒ぎのあと、飯田自身が泣きながら話してくれた。……だからといって許されることではないけど、ある意味彼も被害者なんだ」
その後も、おれの頭を優しく撫でながら、蒼人は話を続けた。
佐久くんは警察で、飯田くんは蒼人や太陽 、うちの両親と蒼人の両親みな揃っている前で、事の成り行きを話したらしい。
佐久くんは、ゲームセンターで助けて近付いて、喫茶店では介抱するふりをして、……おれとの関係を持とうとした。
学校では、ベータと偽っていた先生を脅して襲い、助けようとするであろうおれを巻き込もうとした。
全て失敗に終わったけど、結局動機は分かっていないらしい。
「おれの、肩の痛みは……?」
学校でのことと言われて、聞きたかったことを尋ねた。
「夏丘 先生のヒートに影響を受けてラットになった佐久星司が、セーフティールームに先生を連れて行こうとした麻琴に襲いかかったんだ。……その際に、肩に噛みつかれた。大切なうなじに近い場所だったからか、麻琴はショックで気を失った」
「……え? でもそれなら……」
あの時、周りには他に誰もいなかった。そのまま空き教室に連れ込まれ襲われて、うなじを噛まれ、番が成立という、最悪の結果になっていたかもしれない。
事故で番になってしまうなんて、そんな恐ろしいこと……。
想像しただけで、身体が震えてきてしまう。
そんなおれに気付いて、蒼人は頭や頬をなでたりしながら、自分のフェロモンをおれに纏わせた。
身体の震えは治まり、全身がぽかぽかと暖かくなって、気持ちが落ち着いてきた。
「蒼人、ありがと。もう大丈夫。……続き、話して」
おれの言葉に、蒼人は再び話し始めた。
「見張り役として隠れていた飯田が、泣きながら出てきて、助けを呼んでくれたんだ」
「そっか……。飯田くんが……」
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