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歌舞伎町
去年の夏、僕は南国でひと夏の経験をした。この思い出だけで一生いられると思ったのに、去年よりも酷い暑さの夏が始まろうとしている。
既に熱中症アラートので始めたの初夏、真昼のラブホテルは外デートを断念したカップルでどこも埋まっている。良い部屋から埋まっていくため、やっとOperaの表示を見つけたのは古めかしくボロボロのホテルだった。
南国の子そのものな笑顔をして、少し背の低い青年チャーンは俺の指に指を絡めてそのボロいホテルに突き進んでいる。一方僕の方は黒髪に赤いメッシュを入れて、金属のアクセサリーを過剰につけて、ビッグシルエットのタンクトップにネットパーカー、カーゴパンツに厚底という、いかにもどうしようもない奴。端から見れば、ダルそうにホテルに連れ込まれる買われた人だ。でも、実際は真逆だ。旅行に来ているチャーンの方が、地元ではプロなのだ。半袖シャツに短パンにキャップにサンダル。凄く純朴そうに見える。純朴な少年とヤリタイ人向けのプロフェッショナル。
「僕たちが初めて会ったホテルより遥かにボロいね!」
流暢な日本語を使って、カラカラと笑っているが、酷くいたたまれない。
「もっと良いホテルに……」
少し抵抗する様に指に力を入れるが、チャーンは止まらなかった。
「別に普段はもっとボロい所も使うんだよ、日本人には高級ぶってるだけなんだから!」
「でも……」
「僕もう我慢出来ないから、ね?」
しっかりと手を握られると、ぐらりと理性が傾いてしまった。
くちゅりと唇と唇の間で音がする。膝立ちで跨がれ、顎を上に向かされて貪られた。それだけで胸が痛くて苦しくて、涙が溢れ出てしまう。
「相変わらず泣き虫だね、タオトーン」
彼は何故か僕の事をタオトーンと呼ぶが、意味はわからない。
シャワーを浴びた肌は、効きの悪いエアコンでは冷えず、少し汗ばんでいる。
「来る前に性病検査してあるから安心して、今日はお礼だから、好きな事をしてあげるよ、何が良い?」
「え……」
「前に会った時、どれが一番気持ちよかった?どれをまたされたい?」
思い返して、全身が沸騰する程の恥ずかしさを感じる。
「うっあっ……あっ……」
「もう忘れちゃった?思い出させてあげるから、ちゃんと考えてみて」
唇をチュウっと吸われてから、首筋を撫でられ、乳首に至ると、ぬるりとした舌で押し潰される。
「うぅっん……」
声が漏れてしまうのを、手の平で必死に抑えた。
「ふふ……声を抑えてる暇なくなっちゃうからね?」
童顔で、褐色で細いかと思えば、シャツの下は意外な程凹凸が感じられるむっちりとした身体をしている。そして、きっともうエロい事は飽きるほどしているはずなのに、律儀に大きく……少々大きすぎるのが彼が人気の理由らしいのだ。基本的には受け身のプロだ。
「久しぶりでもかわいいねタオトーン。僕が攻めるのは君だけだよ」
こんなリップサービスを貰ったら、また旅行を計画しなければならない。大学と、仕事のスケジュールが頭を駆け巡る。
しかしすぐに快楽に引き戻された。胸を離れた彼の唇は鳩尾を通り、下腹部に至る。多くもない茂みの先にある既にだらしなく垂れ流す液体を丁寧に舐め取り、舌先で割れ目をくすぐられ、嬌声をあげる。満足気に微笑んでから、ぱくりと咥え込んだ。
「あっっまだゴムしてない!」
「いいから……」
本来の彼はオーラルセックスもゴム必須のお店だったはずだ。
「だめだってば……怒られちゃうよ……」
「今は、プライベートなんだよ、僕のしたいようにさせて」
「そんな……」
ぐちゅりと、わざとの様に音をたてて吸われ、後で多額の罰金が発生したら、頑張って働いて払おうと思った。プライベートで僕なんかとこんな事をするメリットが無いのだから。
全身に力が入ったり、緩んだりを繰り返して、心と体がどんどん高みに登っていく。
「あ……僕も……舐めたい……です……」
「ふっ……良いよ好きに舐めて、気持ち良くしてね……」
タオルで隠されていながら、突き出して存在を主張していた物に触れるだけで、ビクリと震えてくれる。こんな素人の、誰かとベッドに入るのも二度目なヤツのフェラチオなど、絶対に気持ち良くないだろう。
「はぁ……じょうずだよ……初めての生ちんぽだね……」
頭上で囁かれる様に言われて、背筋から、独特な味の広がる喉の奥までビリビリと電気が走る。それだけでももう、逝ってしまったのではないかと、恐る恐る自分のものに手を伸ばし、まだ固い事に安堵する。
「自分でさわっちゃうの……?」
そんなつもりでは無かったのに、言われると興奮してきて、手がゆるゆると動いてしまう。口いっぱいに苦しいくらい大きなものが満ちている。それだけで嬉しくて仕方が無い。本当は大好きですと告げて、正面から繋がってみたい。そう思いながら、それは礼儀に反するので黙っておく。また、涙が溢れてきた。
「苦しくなった?」
首を横に振りつつも、涙と鼻水で息苦しいのは確かだった。
「おいで……」
正面から抱きしめられて、肩に頰や額を押し付けていると、優しく背中や後頭部を撫でてくれた。
「泣き虫さん……」
慈しむ様な声は、何処か懐かしい響きがする。
背中を撫でていた手は、いつの間にかお尻の破れ目に指を這わせていた。ビクリとして余計に抱き着く。いつの間にかぬるぬるとしたローションを塗りたくられ、ゆるく、優しく、出し入れされる。
「きついなぁ……オナニーしないの……?」
「……自分じゃ出来ない……怖くて……」
「ふぅん……初めてでも、あんなに感じてたのに?」
グリグリと、首と肩の間に額を擦り付けた。既に気持ちよくてどうにかなりそうなのだ。
「これじゃ今日は入らないね……」
「ん……なにを……」
「なにって……僕のナニ」
「うひぃ……」
ガバリと離れて、指が抜けるほど後ずさる。重みで少し前下がりになっている物が、入るわけがない。
「そんなに嫌か……傷付くな……」
「あっちがっちがくて……そうじゃなくて……」
「いいよぉ、今日はこっちだけね……」
うつ伏せにされ、お腹の下に枕を挟むと、股の間に長いペニスを挟まれた。長いペニスは僕のアジア標準の中での最弱、つまり粗チンを凌駕して、先端同士が重なった。僕がでかいのは図体だけだ。心臓もノミ程に小さい。
最初はゆっくり、そして、段々と、まるでセックスをしている様に、僕を犯す様に、リズミカルに打ち付けられる。これは前回もやってもらった事で、凄く興奮してすぐに余計な事は考えられなくなる。
「僕もね、ちょっと久しぶりなんだよセックスするの……だから早いけど……ごめんね」
首を舐められて、腰がガタガタと揺れてきて、絶頂が近づく。
「あ……いきそう……いきそう……いきそう……いくいくっいくっ」
「いきなっ」
「うぅん……」
ギリギリと音が鳴る程の筋肉の緊張と共に、お互いの白濁は開放されて、混ざり合った。
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