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第63話
風吹に促 され、僕は部屋の中に入った。外観こそちょっとしたお城風で、昭和の時代を引きずっている感じだけど、中は改装されているらしくとても綺麗だった。壁がベビーピンクで可愛らしい。
ドアのすぐ横には機械が設置されていて、突然女性の声でメンバーズカードがどうとかしゃべりだしたのでびっくりした。どうやら自動精算機のようだ。帰りにこの精算機でお金を払ってチェックアウトするのだろう。
物珍しいものばかりで僕が立ち止まっている間に、風吹は部屋の奥へと入っていった。遅れてついていくと、まず大きなベッドが見える。ベッドの前には大型のテレビ。ベッドの横にはアンティーク風のソファがあった。オフホワイトの合成皮革張りで猫足の可愛いソファの上に、風吹がスポーツ仕様のリュックを無造作に置く。そして僕を振りかえり、手を差し出した。
僕は無言で背負っていたリュックを下ろし、風吹に渡す。「風呂に入ろうぜ。汗だくだ」と風吹が言った。僕は「うん」と答えた。実際汗をたくさんかいていたので、お風呂に入れるのは嬉しかった。
風吹は僕に近づき、僕をギュッと抱きしめる。キスをされるかと思ったけど違った。風吹は僕を抱き上げ、いわゆる〝お姫様だっこ〟をした。
「わわっ」
僕は落ちないように風吹の首に腕を回した。軽々と僕を抱き上げたまま、風吹はお風呂場へ向かう。脱衣場は意外と狭かった。風吹は僕を下ろし、洗面台の方を向いた。そこに置いてある歯ブラシを取る。
「歯を磨いとこう」
そう言って僕にも歯ブラシを渡してくれる。風吹は僕が感染症に弱いのを知っているから、いつも清潔にすることに気を遣ってくれる。さっきキスをしなかったのもそういうことだと分かった。
「……ありがと」
僕と風吹は真面目に歯を磨いた。ラブホテルに入って早速歯を磨くカップルはどれくらいいるのかな。──あんまりいなそうだな。
歯を磨いた後、服を脱いで風呂場に入る。ここでイチャイチャするカップルも多いのだろう。お風呂場は広くて綺麗だった。お風呂は円形で二人でゆったり入れるくらい大きかった。このスペースのために脱衣場は最小限なのかもしれない。
お湯をためながら、僕たちはシャワーを浴びた。歯磨きをしたおかげで気兼ねなく熱いキスを交わせた。僕たちは夢中でキスをした。荒い息遣いが風呂場に響く。
いつも僕の部屋で周りに気を遣いながら逢瀬 をしているので、思ったより欲求不満がたまっていたのかもしれない。一瞬でも風吹から離れたくなくて息継ぎをするのももどかしかった。
「髪洗ってやるから座れよ」
正直キスをやめたくなかったけど、風吹が僕をバスチェアに座るよう優しく促 した。風吹は備え付けのシャンプーを手のひらに出して僕の髪を泡立てていく。風吹の指の力加減は強すぎも弱すぎもなく丁度いい。あまりにも気持ちよくてうっとりと目を閉じ、されるがままになった。
風吹はシャワーで泡を洗い流してトリートメントを髪に馴染ませ、また洗い流してくれる。僕は振り向き「僕も風吹の髪洗うね」と伝えた。
風吹は僕と入れ替わりでバスチェアに座った。風吹のアソコは大きくそそり立っている。僕のお尻はそれを受け入れたくてキュッとすぼまった。僕が風吹の後ろへ回ろうとすると、風吹は僕に向かって手を伸ばした。
「ここに来いよ。ほら、またがれ」
「う……うん」
今更だけど、恥ずかしくなって赤くなる。滑らないように気を付けながら大きく脚を開いて風吹の上に乗った。お互いの陰茎がこすれ合い、全身にしびれが走る。思わず「アッ」と声が出た。
風吹が唇を合わせてくる。僕はキスに応えて舌をからませた。風吹の首にしがみつくと後頭部を引き寄せる。髪を洗わなきゃ……と思うのに激しい口づけを止めることが出来ない。風吹は手で自分と僕のペニスの先端をこすり合わせている。
頭がおかしくなりそうだった。今すぐ風吹を受け入れたい。僕の身体の奥に風吹自身を打ち込んでほしい。それしか考えられない。
風吹が僕のお尻の穴を指で探る。僕はほぼ無意識に腰を振って、その指にお尻を擦りつけた。
「ふぶ……アッ……ぶ、き……ハァッ……れて……。おねが……っ」
「さく、ら……、つかまれ。立つぞ」
風吹の息もかなり乱れている。僕は風吹に強くしがみついた。風吹は僕の身体を両手でしっかり支えて立ち上がる。濡れているせいでズルッと落ちそうになった。僕は風吹の腰に両脚を絡 みつかせる。
風吹は僕を抱えたまま歩き出し、風呂場から出て脱衣場に置いてあったバスタオルで僕を包んだ。そのまま部屋へ戻り、僕をベッドに寝かせる。
「ちょっとだけ待ってろ」
しがみつく僕の両手を優しく外して、風吹は僕のおでこにキスをする。そして風呂場に引き返し、出しっぱなしだったお湯を止めた。
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