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第九話:護衛と皇子、いちゃらぶに無理矢理まぐわう(♡)

 屋敷に帰り着き、リシェルはわき目も振らず足早に寝室に入ると、ベッドにもぐりこんだ。  なぜか、後から後から涙が出てきた。  ──私は何を泣いているんだ。こうなることはわかっていたじゃないか。  いくらディオスのことが好きでも、ずっと一緒にいられるわけがない。ディオスの目的はここにはないのだから。  リシェルとて、ディオスが自分の護衛として人生を終えることを望んでいない。  さりとて、カルロが軍務に熱心なのでリシェルが戦に行くことはほとんどないし、勉学を好み、それでいて皇帝にはなる気のない皇子の下にいたところで、出世の芽は限られている。  だからリシェル自身も、想いを伝えることは我慢して、ディオスの仕官先や見合い相手を探していた。 「うっ、うっ、うっ……」  ディオスは、リシェルがいなくても、自分の道を見つけられた。  リシェルは、頑張ってきたつもりだったが、勉学に励んでも誰の役に立つこともできず、残りの人生、朽ちていくだけなのだ。 「ぐっ、うぅっ、うっ……」  もはや、泣くなど皇子として恥ずかしいという気概もなくなり、リシェルは枕カバーで涙をぬぐいながら、いつの間にか眠ってしまった。  ◇ ◇ ◇  身体が動かされる感触にふと目を覚ますと、何か温かいものが身体を包んでいた。  驚いて身じろぎすると、 「お、目が覚めたか」  という声とともに、ディオスの匂いが鼻をくすぐり、後ろから肩に頭がうずめられた。 「ディオス! そなた何故私のベッドに?」 「決まってるだろ」  そう言うと、リシェルの身体を反転させて向かい合わせになると、頭に手を添えて顔を近づけてきた。 「だ、だめだ……」 「なんでだよ」 「私は、皇子なのだ……」  何の役にも立たないけれど……。  ぽろり、と涙がこぼれてしまい、慌てて布団で隠そうとしたが、ディオスが胸板にリシェルを抱き寄せるほうが早かった。 「……ああ。わかってる。リシェル、お前は皇子様だ」  そしてリシェルの髪を撫でると、いつもよりずっと優しい声が頭の上から降ってきた。 「お前は、いい皇子になろうとずっと頑張ってきた、立派な皇子様だ」 「──!」  胸を突かれ、頭を上げてディオスの顔を見ようとすると、 「恥ずかしいからあんまこっち見るな」  と言われて胸板にぎゅっと頭を押し付けられた。 「うっ……、ううっ……」  ぼろぼろと涙がこぼれてディオスの服を濡らした。  何度も何度もしゃくりあげる度に、ディオスはリシェルの頭を優しく撫で、背中をさすった。  抜け殻のようになっていた心が、どんどん満たされていくのを感じた。  流れる涙をディオスが口づけしてすくいとり、その温かさにさらに涙があふれた。  びりびりと痺れるような感覚に胸がふわりと浮き上がったが、リシェルは平静をとりつくろった。 「ダメだ、そんなことをしては……」 「俺は俺のやりたいようにやる。お前の言うことなんかきかねえ」  そう言うと、リシェルを身体の下に敷いて首筋に唇を這わせ、 「お前は俺に無理矢理されたってことにでもしとけ」  とささやいて、唇を重ねてきた。  ちゅ……、ちゅっ……  「無理矢理」と言うにはあまりにも優しい、ついばむようなキスに夢見心地になりながらも、リシェルは驚いた。  ディオスがこんな、優しくキスしてくれるなんて……。  『無理矢理されたってことにしとけ』  それがディオスの優しさなのだとわかって、リシェルは思わずディオスの背中をぎゅっと抱きしめた。  目を閉じて、ちゅる、ちゅる、と優しく唇を合わせる合間に、少しだけ舌を突き出し、そっとディオスの唇の間に入れてみると、熱く湿った口内の感触に、きゅんきゅんと心臓が悲鳴を上げた。  泣きすぎて乾いた口の中に、ディオスの濡れた舌が入ってきて、リシェルは唇と舌でその潤いを吸った。 「ん……」  こくりと喉を鳴らすと、ディオスは背中に回した手でシャツをまくり上げ、もう片方の手をリシェルの胸に滑り込ませた。  ふにふにと胸の尖りを押され、喘ぎたいけれど唇を離したくなくて、「んっ……」と鼻から声を上げた。 「んっ……、んっ……、んっ……♡」  二人で身体を絡ませ合い、ひたすら互いの身体を撫でまわし、吸い付いて、ベッドを乱した。  一糸まとわぬ身体になっても、夢中で昂ったモノをこすりつけあい、火照った吐息を交錯させた。  ──好きだとか、愛してるとか、言ってくれなくてもいい。  ただ、今この瞬間、一つになりたい……。  ディオスが身体を起こし、ベッドサイドの棚を眺めた。何か滑りを良くするためのものを探しているのだろう。 「要らない」  リシェルは首を振ってディオスの身体に抱きついた。 「無理矢理、なのだろう?」  ディオスは返事の代わりに、優しく、深く口づけして、リシェルの肩を両腕で抱きながら足の間に屹立した大きなモノを割り込ませた。  ──あ……♡  緊張はある。痛いのも少し怖い。それでもディオスに貫かれる痛みだけが、今のリシェルの待ち望むものだった。  合図のようにディオスの背中を抱く腕に力を込めると、ディオスは、ずぶり、と熱くて大きくて硬いモノを、リシェルの窄まりに突き刺した。 「あああああぁっ!!♡♡」  ディオスのモノを受け入れるのは初めてではない。しかし、慣らしもせずに入ってきたそれは、リシェルの秘所に鮮烈な痛みと、圧倒的な力を伝えた。  リシェルの悲鳴に、ディオスの身体が怯んだのがわかった。  首を振って目尻に涙を浮かべ、はあ、はあ、と息を切らしながら、ディオスの耳に向かってかすれた声を振り絞った。 「やめ、ないでくれ……」  ディオスはリシェルの涙にキスをして、ずぷ……、と狭い胎内に屹立を推し進めた。  リシェルも少しずつ身をくねらせて、奥へ奥へと導いていく。  ずっ……、ずっ……、 「あぁぁっ……♡」  少しずつ進むたびに、リシェルは甘い声を上げた。  行き止まりに当たると、ディオスがもうこれ以上先に進めないのかどうか、ごりゅごりゅと屹立を軽く回した。 「はあぁんっ♡」  ディオスがふっと笑った気配がして見上げると、猛禽のような鋭い瞳が、優しい光を帯びてリシェルを見つめていた。  汗で少し根元の湿った黒い前髪が、リシェルの顔に向かって垂れている。  ──大好き、大好き……。  思わず口元を緩めると、ディオスの顔が切なげに揺れた。  その瞬間、中にようやく納まった屹立が、激しく動き始めた。 「あああっ! あん、あん、あん、あんっ♡」  背中をぎゅっと抱かれ、身体を密着させたまま、まだほぐれ切っていない窄まりを、何度も屹立が行き来する。  パン、パン、パン、パンッ!  既に何度もディオスに抱かれた身体は、あっという間に快楽に溶けていき、リシェルは尻ごと脚を上げてディオスをさらに深くまで迎え入れた。  ディオスはリシェルの膝を折り畳んで身体で押しつぶすようにすると、ずんっ! と奥深くまで屹立を突き刺した。 「あああっ♡ あああんっ♡ はぁっ……♡ 犯されるっ……♡♡」  少しでも奥を犯してもらおうと、リシェルの中は淫らに蠢き、ディオスの屹立を締め付ける。 「あっ♡ ああっ♡ ああんっ♡」  ディオスは容赦なく腰を打ちつけると、夢中で喘ぐリシェルに口づけた。 「んぐっ♡、んんっ♡、んぐっ♡」  唇を噛み合わせ、ねちょねちょと互いの唾液が混ざりあうようなキスをしながら、汗ばんだ肌を密着させて、ディオスが腰をさらに強く引きつける。  奥の窄まりに雄の先端をぐんっと突き当て、腰を打ち込みながら、ディオスはびゅくんっびゅくんっ♡と精を放った。

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