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 顔を背けたカワイを、至近距離で見つめる。 「こんなことしてるのに、キスは駄目なの?」 「してる、けど。でも、キスはだめ……」 「どうして?」 「あ、っ。体、揺さ振っちゃダメ……っ」  しっかり感じているし、俺に対して嫌悪のようなものは抱いていないはず。  それなのに、キスは拒否するなんて。不可解な言動に対して追及すると、カワイはどこか観念したかのような態度で答えた。 「──キスは、ヒトの意識がハッキリしてるときにしたい。だから、今はだめ……」  なるほど、そういうことか。納得すると同時に、俺は心の中で唱えてしまう。  ──ごめん。その発言は、不謹慎ながらメチャメチャ興奮する。……と。  しかし、カワイの主張は尊重したい。俺は頷き、カワイの尻尾の先にキスをした。 「じゃあ、唇にするキスは、また今度。俺がお酒を飲んでいないときに、ね」 「う、ん。それなら、いい。それなら、キスしたい」  そう素直に『キスしたい』と言われると、今すぐにでもしたくなってしまうけど。……でも、我慢だ。カワイが嫌がることはしたくない。  それでも、生まれた欲望は素直なものなのだ。なので折衷案として、俺はカワイの尻尾を存分に可愛がる。こっちは駄目じゃないみたいだからね。 「は、っ、う……っ」  腰は止めずに、尻尾への愛撫をプラス。カワイの華奢な体が、さっきよりもビクビクと震えている気がする。  もしかしてカワイ、そろそろイキそうなのかな。もしもそうなら、とても嬉しい。 「カワイ、ココと尻尾……どっちも気持ちいい?」 「きもち、いぃ。ヒト、えっちが上手……」 「そう言われると、ますます頑張りたくなっちゃうな」 「ん、っ。歯は、立てちゃ……ん、んっ」  尻尾を甘噛みすると、カワイが可愛い反応を返してくれた。そんな反応を見せられると、今以上に逸物が勃起しそうだ。  さて、そろそろ俺としては限界が近いのだが。おそらく、カワイも同じだろう。さっきからチラチラと、どこか強請るような瞳でカワイが俺を見ているのだから。 「そろそろ出そうだよ、カワイ。このまま、カワイのお腹にかけてもいい?」 「ん、いいよ……」 「ありがとう。優しいね」  許可を得たので、早速……。俺はカワイの服を捲って、お腹を露出させた。  再度カワイの太腿に俺の逸物を擦りつけると、濡れた音が鳴る。十中八九、俺の逸物から出た先走りの液だろう。それがカワイの太腿を濡らしているのだと思うと、これもこれで興奮する。  結論。カワイの全部に、興奮している。俺はカワイの額に、俺の額をコツンと重ね合わせた。 「カワイ、そろそろ出すね」 「ヒト、ボクも、もう……ん、ッ」  打ち明け合って、すぐ。俺はカワイのお腹に、精子をぶちまけた。  それを受けてなのか、たまたまなのか。カワイは声を押し殺しながら、俺と同じく絶頂を迎えた。 「は、ぅ。……ん、ぅ、っ」  堪えきれない声が、吐息と共に零れている。逸物から白濁とした液を出すカワイを見て、俺は絶頂の余韻に浸りつつ考えてしまう。  今さらだけど、悪魔も人間と同じ絶頂の迎え方をするのだな。……なんて。あまりに、ノンデリ極まりないことを。

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