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カワイの下半身を露わにした後、俺はさらにカワイとの距離を詰めた。
「カワイ、このまま脚……閉じていられる?」
「あっ。……えとっ、うん。大丈夫、だよ」
「じゃあ、お願い」
挿入を伴う本番行為は、さすがにしない。
だから──と言うのは、どう考えてもおかしいけど。とにかく、今日は擬似的な行為だけ。……つまり【素股】というやつだ。
ちなみに、ここで余談。俺は童貞だ。交際経験も無い。
なので、こういった行為に対する知識はムフフな本で齧った程度しかないのだが……。カワイに幻滅されないことを祈りたい。
カワイが脚を閉じることで、俺の逸物がカワイの太腿に挟まれる。その感覚に、俺は堪らず眉を寄せてしまった。
「やばっ。カワイの太腿、想像以上に気持ちいい」
「ヒト、待って。これ、ヒトの性器が脚だけじゃなくてボクの性器にも当たってる。変な気持ちになっちゃう」
「うん、なっていいんだよ? それが狙いなんだからさ」
「そ、う、なの?」
わざとカワイの逸物に擦り付けると、案の定。カワイが、ピクピクと小さく体を跳ねさせた。……うん、可愛い。
「カワイ、気持ちいい?」
「気持ち、いい……っ」
「良かった。じゃあ、続けるね?」
カワイの呼吸が、少しずつ荒くなってきている。徐々に余裕を失っていく姿も、ヤッパリ可愛い。
そう言えばカワイは、俺と一緒にジムでどれだけ運動しても、呼吸なんて乱さなかったっけ。
それなのに……。
「ぅ、ん……。ヒト、っ」
今、カワイは乱れている。……俺が、乱しているんだ。
呼吸を浅くしながら、カワイは小さな声で喘いでいる。だけど両手はしっかりと俺のスーツの裾を握り、どこか甘えているように見える。
腰を引いて、それから押し込む。なんとも、単調な動きだ。
それなのに、どうしたことだろう。こんなにも、心が満たされていく。
「カワイ、カワイ……っ」
「んっ、ヒト、っ。ヒト……っ」
名前を呼ぶと、名前を呼んでくれる。見つめると、恥ずかしそうにしながらも見つめ返してくれた。
そこで、ふと気付く。カワイの尻尾が、ユラユラと静かに揺れていることに。
もしかして、先端は性感帯だったりするのかな。そんな好奇心から、俺はカワイの尻尾を握ってしまった。
まぁきっと、草原君に言わせたら『それはファンタジーなフィクションでございます』なんだろうけど──。
「──ぅ、あっ。ヒ、ヒトっ? 尻尾は、ダメ……っ」
……おっと? 想定と違い、想定通りの反応だ。
先端を撫でると、カワイが大袈裟に見えるくらい体を跳ねさせた。どうやら、本当に性感帯らしい。
ならば、もっと触りたくなるのが男と言うもの。惚れた相手に気持ち良くなってもらえるのなら、これ以上の誉れはない。
……なんて。それらしい大義名分を掲げてみようか。実際は、気持ち良くなって戸惑うカワイの姿が見たいだけなんだけどね。
カワイの尻尾を口元まで運び、そのまま俺は先端にキスをした。そして、そろっと舌を這わせる。
「舐めちゃ、だめ……。ボク、やだ、やぁ……っ」
これが噂の【嫌よ嫌よも好きの内】ってやつか。可愛いぞ、とても。
俺の下で、カワイが快感に悶えている。それが猛烈に可愛くて、すごくそそられた。
「カワイ……」
だから俺は、カワイに顔を近付ける。そのまま、カワイの唇にキスを──。
「──キスは、だめ」
……なんということだろう。
キスをしようとしたら、顔を背けられてしまった。
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