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第6話 信頼の証とつながる心(4)★
「っ、おい」
「口元といい、蓮也さんのほくろってエロいですよね」
いたずらっぽく相好を崩しながらも、羽柴は執拗に内腿へと吸いついてくる。
犬飼はたまらず身をよじったが、どうにも逃してくれる気はないらしい。それどころか、鬱血の痕でも残すかのように、力強く吸いついてくるではないか。
「こら、妙な真似をするな……っ」
「そんなこと言って、勃たせてるのはどこの誰です? さっきから、俺の顔に当たってるんですけど」
居たたまれなさに視線を泳がせていたにも関わらず、わざわざ指摘されてしまった。
何を隠そう――目と鼻の先にあったのは、腹につかんばかりに反り返った自身。恥ずかしいことにも、愛撫されるさなかに反応を見せ、羽柴の顔を撫でつけるような形になっていたのだ。
犬飼は反論の言葉を探すも、何も思いつかずに黙り込む。その反応すら愉しむかのように、羽柴はいっそう笑みを深めて、犬飼の膝を大きく割った。
「蓮也さんの、もうトロットロ。ほら、糸引いてるの見える?」
鈴口を指でなぞられて、つうっ……と糸が引くさまを見せつけられる。羞恥を煽るようないやらしい行為に、犬飼はさりげなく顔を背けた。
「く、っ」
軽く触れられただけでも快感を拾って、腰が浮いてしまいそうになる。それを悟られたくなくて必死に堪えるも、相手は嘲笑うかのように追い打ちをかけてくる。
「ははっ、辛そうにしてるや。一度ヌいちゃいましょうか?」
言うが早いか、陰茎を握り込んで上下に擦り始めた。
亀頭から裏筋にかけて、先走りを塗り広げるように扱かれれば、犬飼もいよいよ我慢ならずに腰を浮かせてしまう。
「はっ、あ……」
むず痒いような甘い痺れが、腰から這い上がってきて止まらない。
そうこうしているうちにも、羽柴の唇が肌の上を滑って、胸元へと辿りつく。その薄桃色の突起を前に、羽柴はぺろりと舌なめずりしてみせた。
「……おいしそ」
微かな声で呟くと、迷わず突起を口に含む。
飴玉でも舐めるかのように舌先で転がされ、犬飼は大きく目を見開いた。
「な、にしてっ」
「ん? ここはさすがに感じない?」
女じゃあるまいし、感じるはずもない。
そうは思えど、ちゅうっと音を立てて吸われてしまえば、もどかしい快感が背筋を伝って、戸惑いが生じる。本人の意思とは裏腹に、乳首はぷっくりと赤く腫れていき、ますます情欲を煽るばかりだった。
「可愛い。ちょっと痛くしちゃってもいいですか?」
「っ、あ!?」
上目遣いでこちらの反応を見ながら、羽柴が歯を立ててくる。
相変わらずの容赦のなさだ。歯形が付くくらい噛みつかれ、痛みと快感がない交ぜになった感覚に、犬飼は身悶えた。
そうしている間にも手淫が止むことはなく、早くも達してしまいそうになって焦りが募っていく。
(まずい、このままだと……なんとか、耐え――)
ところが、なけなしの忍耐など長続きしなかった。
きっと何もかも、羽柴にはお見通しだったのだろう。鈴口をぐりっと親指の腹で抉られた瞬間、犬飼は目の前が真っ白になった。
「く、うぅ……っ!」
呆気なく限界を迎え、白濁が勢いよく弾け飛ぶ。
自分の腹だけでなく、羽柴の手も汚しているというのに、その勢いはとどまることを知らなかった。何度も精を吐き出して、犬飼はぐったりとベッドに沈み込む。
「……すっげ。いっぱい出ましたね」
羽柴は感心したように言って上体を起こすと、手に付着した精液を舐めてみせた。
犬飼の中で、ますます居たたまれなさが膨らむようだったが、同時に興奮も覚えてしまう。と、つい煽情的な仕草に釘付けになっていたら、不意に視線が絡み合った。
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