97 / 132
100伝えたら…
「大和が食あたりなんて、珍しいね」
「何食べたのかしらね~」
「朔兄…トンカツ定食食べるって、張り切ってた」
「大和が朔兄のとこ泊まるなら、シュウ君は、ここに泊まってってね?」
「え?」
突然、当然のごとく
四葉が、そう言った
「ね?シュウ君?」
「…俺は…構わないけど……」
「あら、じゃあ泊まてって?大和の分の晩ごはんも、食べてくれると助かるわ」
四葉と母さんに勧められて
結局シュウは、泊まってく事になった
「シュウ君、シュウ君」
「何…」
「ユウの事好き?」
「なっ…?!四葉!」
こんなとこで!
母さんに、聞こえたらどうすんの?!
「好き…」
「はぁ~~…うんうん」
「えっ…~~っ!」
四葉に、シュウが普通に答えた!
恥ずかしい…けど、嬉しい…
「ユウは?ユウもシュウ君の事好き?」
「~~っ……すっ…好き…だよ…」
「うんうん…はぁ~~…四葉の夢見た世界が広がってる…」
四葉は、なんだかぼ~っとしてるけど
俺は、恥ずかしくて、シュウの顔が見れない
「おっ…俺……母さんの手伝いしてくるっ…」
たまらず、その場から逃げた
チラっと見えたシュウは
全然普通だった
ユウが、真っ赤な顔してキッチンへと向かうと
「シュウ君…」
すぐに四葉が話し掛けてきた
「何…」
「ユウと少しは、エッチな事出来てる?」
実の妹が
兄のそんな進展具合を、聞きたいものだろうか
「少しずつ…」
「そっか…」
いや、聞きたいよな
だって、俺達がそうなる事を予想して
あんな漫画、沢山貸してきてたんだから
「ユウさ、凄く感じるから、絶対可愛いだろうけど…シュウ君優しいから、きっと大変だよね…」
もう、だいぶ経験済みですみたいな呟き…
まあ…脳内では、だいぶ経験済みなんだろうが
「分かってたけど、予想以上…もう少し、ユウの反応見ながらにする」
「…シュウ君で、良かった」
嬉しそうに、俺を見て言ってくる
もはや、弟を心配してる姉の様だ
「ユウが…大切だから…ユウが嫌な事はしない…ユウが泣く事もしない」
「うん。でも、シュウ君も大切」
「大丈夫。ユウの気持ち…ちゃんと伝わってる」
「シュウ君が、我慢ばかりしてると、きっとそれもユウに伝わるから…する、しない。出来る、出来ないは、置いといて…シュウ君のしたい事、伝えてもいいと思うよ」
したい事…
伝えたら、ユウは嫌でもしそう…
ほんとは嫌でも、俺がしたいならって…
「シュウ君、シュウ君」
「何…」
「100伝えて、100じゃなくて、いいじゃん」
「四葉…」
「100伝えて、伝わって、話し合って、10出来たとしたら、きっと2人にとって嬉しい事だよ?」
ほんとに小6?
そういう事に関してじゃないにしても、考え方…
「四葉…大人だね」
「へっへ~…実は、今借りてる漫画に出て来たセリフなんだ~♪︎超きゅんきゅんする話でね~…」
そこから、その漫画の解説が始まった
やっぱ、小6だった
けど、さっきのは…
だいぶ参考になったと思う
漫画…深い…
ユウのベッドの下に布団を敷いてると
ユウが、じっと見てくる
「?…ユウ?」
「あっ…手伝う?」
「ううん…大丈夫」
何か…
気になる事あるのかな
「俺と母さんが、ご飯支度してる間、四葉の相手してくれて、ありがとう」
「…今借りてる漫画の話…楽しそうにしてた」
「うん。すっごく楽しそうだった」
「超きゅんきゅんするって、言ってた」
「ふっ…いつも言ってる」
普通じゃ考えられないけど
誰よりも先に、俺達の未来を想像してた四葉
ほんとは、ユウとどんな事したのかとか
聞きたいんだろうな…
「四葉…小学生とは思えない…」
誰より聞きたいのに
俺達を大切にしてくれる
「……え?…な…な…何で?何が?何処が?!なんで、そう思ったの?!」
?
なんで、ユウ…そんな動揺してんの?
あ…
「ユウと何したとかは…話してない」
「えっ?!…そっ…そんなの当たり前だろ?!」
?
なんだ?
「ユウ…何?…分かんない」
「~~っ…四葉…大人っぽくなったって事?…どの辺が?…むっ…胸とか…そんな変わった?」
「……え?…違う!体型の話じゃない。考え方の話」
「え?…考え方?…あ……はぁ~~…なんだ…そっか……びっくりした~」
ユウは…
どっちに、びっくりしたの?
なんて…聞かなくても分かる
四葉が、そんな目で見られてたのかって方だ
「ユウ…四葉をそんな風に見た事ない」
「分かってる。ごめん…けど……シュウさ、普通にイケメンだから…遠くから見てると、いくら四葉でも少し不安に……ん?」
「ユウ?」
「いや…あれ?そうじゃなくて…四葉が心配で…四葉がシュウと楽しそうなのは、嬉しいけど…四葉もう来年中学生だから…そう!色んな男に、そんな目で見られんのかなって、心配になったんだ。うんうん」
少しは…
俺が、そんな目で他の人を見たのかって事
気になったんだって、思ってもいい?
「そうなるかもしれないけど…それに気付かない四葉でも、黙ってそうさせる四葉でもないから…大丈夫だと思う」
「そう?そうなら、いいけどなぁ」
大和仕込みなのか
自分の周りの人達を、上手く使うんだろう
「……シュウ」
「うん?」
「……変な事…聞いていい?」
「うん」
「シュウはさ……その…女の人と……ちゃんとしたエッチ…~~っ…した事…あるの?」
びっくりした
ユウから、そんな質問くるなんて…
「ユウ…」
「ごめん…その…言いたくなかったらいい……ちょっと…気になっただけだから…」
「…答えてもいい?」
「うん…」
「あるよ」
「っ!……そっ…そう…だよね…」
何が正解なのか分からないけど
多分、隠したところでばれる
「うん…」
「俺は…そういう事した事ないから、分かんないけど……どう考えても…女の人の方が……綺麗だよね?」
「ユウ…」
「だって…そうだろ?俺…成長したって、胸なんか大きくなんないし……なんなら…シュウみたいに筋肉付けたいとか思ってるし…」
ユウが、不安に思ってくれてる
それは…
俺に嫌われないか、不安って証拠…
「ユウ…そっち、行っていい?」
「うん…」
ユウの隣に座ると
少し不安そうな顔して、ユウが見てる
「女の人の体…綺麗だと思うよ」
「っ…うん…」
「けど…綺麗な体なら…好きになる訳じゃない」
「そりゃ…そうだけど…」
「好きだから…触れたい……好きだから…こうやって、隣に居るだけで…どうにかなりそう…」
「シュウ……なんか…ごめん……今まで思わなかった、色んな事が気になって…不安になって…」
「ん…嬉しい」
ユウを抱き寄せる
ユウが、想ってくれてる
一生懸命、俺の事考えてくれてる
「俺…女の子なら良かったのにな…」
「それじゃ、ユウじゃない…ユウがいい…」
「……ん…俺も…シュウが、シュウだからいい」
「ありがとう…ユウ…好き…」
「俺も……好き…シュウ…」
真っ直ぐで、一生懸命なユウが好き
弱いのに、強いユウが好き
綺麗で…可愛いくて…
俺の中だけに、閉じ込めてしまいたくなる
「ユウ…キスしていい?」
「いいよ…」
緊張と不安が少しずつ消えてって
ほんの少し熱っぽい目で見てくるユウ…
こんなの…
他の誰にも見せたくない
「んっ……んっ…はっ…んぅっ…んっ!」
可愛い声…
もっと…もっと聞きたい
少し眉間に皺を寄せて
ぎゅっと目を瞑って
「んっ…はぁっ…シュウ……んんっ…」
俺の目を見て
俺の背中や腕に、しがみ付いて
こんなの、俺だけに見せてくれてるんだ
「ユウ…」
「んっ…シュウ?」
キスを止めて、ぎゅっと抱き締める
愛おしくて…愛おしくて…
どうしたらいいんだろう…
毎日一緒に居るのに
今までより、ずっと触れ合えてるのに
気持ちが…溢れる…
「シュウ?…ねぇ…シュウ……もしかして…泣いてる?」
「……うん」
「えっ?!なんで?!」
「…嬉しいから」
「嘘だ!俺、なんかした?!ねぇ…ちゃんと言って?シュウにだけ…色々我慢させるとか…絶対やだからな?」
ああ…そうか
四葉の話…
凄いなとは、思ったけど
ユウが10我慢しなきゃなんないなら…
伝えなくていいんじゃないかって思った
だけど…
「違うんだ…嬉しくて…嬉しくて……気持ち…溢れる…」
「シュウ……うん…ありがとう」
俺が、ユウに我慢させたくないって思うのと一緒で
ユウも、そう思っちゃうから
そうだね、四葉…
100のうち10位が…
2人にとって、丁度いいのかもしれない
ともだちにシェアしよう!

