96 / 132

信じたくない事実

何か不快な感じがする 気持ち悪い? なんでだ? まだ、半分夢の中で考える 今日は…そうだ 朔の奴に、ご飯奢ってやって 海老フライ定食…食べて… その後…アイス食べて… 食べ過ぎたのか? 重い瞼を開くと 朔の奴が、こっちを見てた 「目覚めたのか?」 「……何時」 「4:00…」 4:00… そんなに寝たのか 寝たのに調子悪いって… 風邪ぶり返した? なんか、頭も痛い… 「…なんか…すげぇ頭痛い上に…気持ち悪い…」 「……今日…泊まってったら?」 こいつが、泊まってけなんて、おかしい 「お前…なんか知ってんの?」 「なんも覚えてないのか?」 「どういう事だ…」 「お前…酒に酔ったんだよ」 酒に酔った? 何言ってんだ?こいつ… 「ふざけんな。ちゃんと答えろ」 「ふざけてねぇよ…ってか…寝るまで、めちゃくちゃふざけて笑ってたのは、お前だ」 「……は?」 寝るまで… アイス食べてすぐ横になって… あのまま寝たんじゃなかったか? 「っ!」 少し体起こしただけで、クラクラする ズキズキ頭痛い…気持ち悪い… 「大丈夫か?寝たら良くなるもんじゃねぇんだな?」 ほんとなのか 俺は…酒に酔ったのか? なんで… 何が起こった? 「お前が…飲ませたのか…」 「んな訳ねぇだろ…あとで、何百倍の仕返しされるか分かんねぇんだから」 そりゃそうだ こいつは、身をもって知ってるはずだ 「お前が食ったアイスん中に、リキュール入ってたみたいだぞ」 「…アイス?…リキュール?」 「お前が放置したゴミ捨てようと思って、改めて見たら、ちっさく注意書きが書いてあった」 「……変な味…しなかった…」 「まあ、小さなお子様や、お酒に弱い方って書いてたから、ほんの少しの量なんだろな」 味…分かんないくらいの量で、酔ったのか? こんなに、具合悪くなってんのか? 「お前、酒癖さいっあくだから、成人しても1滴も飲まない方がいいぞ」 「……腹躍りでも披露したのか」 「まあ…ある意味、そっちのが被害者出なくていいかもな」 「被害者?…何をした?」 「何ってお前…」 朔の奴が、じっと俺の顔を見て 「…~~っ…ぶはっ…くっくっくっ…お前っ…ちょ~ちょ…ちょちょちょって…くっくっくっ…」 訳の分からない事を言い始めた こいつこそ、酔ってんじゃないだろな 「あ?…頭痛いんだ…大声で笑うな」 「だっ…だってお前…ちゅちゅちゅんだの…ぴよっぴよだの…くっくっくっ…」 「お前…大丈夫か?」 真面目に答えず、おかしな事言ってる朔に、腹は立つものの 怒る気力がない 一言も喋りたくない 「はぁ…いいから、水…とにかく水持って来てくれ」 「水?喉乾いてんのか?」 「喉も乾いてるが、アルコール出さなきゃだろ」 「そうなのか?」 馬鹿だから仕方ないが 余計に説明しなければならない馬鹿に、腹が立つ 「持って来れそうなら、頭痛薬も…」 「おお…」 「食あたりで、動きたくないから泊まるとでも、言っておいてくれ…」 「ほんと、具合悪そうだな?あと、なんかする事あるか?」 「……静かにしてくれ」 水飲んで…寝て…トイレ行って… 動く度に、頭痛い…気持ち悪い… 何時間位したら、抜けるもんなんだ? 「大和君、大丈夫?」 「すいません…突然…」 「いいの、いいの。替わりに、シュウがユウ君のとこ泊まってるし」 「そうなんですか…」 そうか シュウ帰って来ないんだ 気が楽だ なんか… バサバサしてる… 「あ…起こしたか。寝てろ」 朔が、布団敷いてた 「……俺…そっち行く?」 「いいから、そのまま寝てろ」 「はぁ…父さん、普通に酒飲んでるし…こんなにアルコール弱いとは、思わなかった」 「少しはマシになったか?」 「少しは…」 だるい体を起こす とにかく…飲みたくなくても、水飲まなきゃ 「水か?ほれ…」 「俺…自分で酔ってるって自覚してた?」 「いや…自覚も何も…多分、幼稚園児くらいになってたぞ」 「……はぁ…何したんだ」 聞きたくない…が、 二度と酒飲む気もないが 万が一酔った時、どうなるのか、知っておかねば… 「だから…寝てたと思ったら、さっきみたいな謎の言葉言い出して…寝てたし、寝言かと思ってたら…目覚めてから、たんたかた~んとか言って、俺の髪、引っ張り出して…」 たんたかた~ん… なんだ…その効果音… ってか…朔だからいいものの…髪、引っ張った? 「はぁ…あとは?」 「ぶしぶし言いながら、俺の顔触りまくって…」 「はぁ…終わり?」 少し良くなってきたはずが… また頭痛くなってきた 「いや……」 「何…」 言いづらそう… 聞きたくねぇ… 「気持ち悪くねぇのか聞いたら…キスしてきてたぞ」 「………キス魔なのか…俺の酔い方は…」 「いや…キスは、その1回で、その後は腕に食いついてきた」 「はあ?」 「そんで、美味しくないって、すげぇ不服そうにしてた」 もうやだ… 朔じゃない、誰かだとしたら… なんちゅう酔い方… 「ある意味…お前と2人の時に酔っておいて、良かった…」 「まあ…そうかもな」 「幼稚園児ってか…食いつくって、獣化してる…」 「いや、その後はまた、幼稚園児だったぞ?」 「………その後?」 嘘だ… 信じたくないぞ その後があるだなんて… 「俺、酔っぱらいの介抱なんて知らねぇから、寝てろって布団の中押し込めたら……」 「押し込めたら…何だ…」 「俺の胸、なぞりながら…もぐらのっ…っ…も~しゃんの歌っ…っ…っ…歌って…」 朔が、肩震わせながら答える こいつ… けど…もぐらのも~しゃん? 一体どんな歌なんだ… 「それから…っ…くっくっ…けむしの…っ…む~しゃんのっ…っ…歌になって…っ…」 やめてくれ… 何してくれてんだ…俺… 「歌って終わりか…終わりだろ?」 終わりであってくれ 「アイシュ食べたいって…」 「はぁ…っそ」 こいつ… アイスでいいだろが どんどん頭痛くなってきた 「パフェ…クイームショーダ……っ…っっ…パン!ケーキ!つってた…ひ~~っ…無理っ…あん時は、静かにしろってしか思ってなかったけど…くっくっくっ…ひ~~っ…今思い出したら…くっくっくっ…」 絶対…何があっても、アルコールは摂取しない チョコレートボンボンも、いつか食べてみたいと思ってたけど、危険でしかない 「分かった…寝る…」 「くっくっくっ…あ、もう寝るのか?いい子だな…くっくっくっ…」 「覚えてろよ…お前…」 「いや、俺だって眠りたかったのに、どうやってもお前、寝てくんなかったんだぞ?」 「そうかよ…」 くそっ!くそっ! もっと、色々言ってやりたいのに 頭痛いわ…頭回らないわ… 「大人しく寝ろっつってんのに、お前…やらやらもんね~…チッチッチ…しゅっ…ぽ~ん!って…くっくっくっ…すっげぇ楽しそうに、布団の中から飛び出して…くっくっくっ…楽し~!つってたぞ…ひ~~っ…くっくっくっ…」 もういい… 何も考えたくない 「笑い死ね…」 そう言って、目を瞑った 信じたくないが… なんとなく頭を過る… なんか…何かに噛み付いた気がする… 気分良く…歌ってた気がする… なんか…凄く楽しかった気がする… 麻薬だ… 一時的な快楽の世界に連れてって その後、こんな地獄に落とすなんて… 絶対ユウも、こっち側だ 四葉は、なんか…大丈夫な気がする ユウに言っておこう 商品表示を必ず、よく見る様に 注意書きは、しっかり読む様に 気分悪いせいで、寝たいのに、なかなか熟睡出来ない俺の傍で 時々、思い出しては、堪えきれない様に、肩震わせて、くっくっ…と笑ってる朔の奴を見て これだけは、絶対覚えておこう 覚えてろよ… と、思いながらも スカッとする様な報復すら、考えるのも頭痛くて… 最悪なBGMなのに、いつの間にか眠れてたのは やっぱ、何故だか眠りやすい、こいつのベッドのせい……

ともだちにシェアしよう!