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兄から譲り受けた物
「シュウ……っ…中から…居なくなっちゃった……っ…~~っ…寂しい…」
ヤバかった
感情のまま、動いてしまいそうだった
一瞬だったけど
ユウの中に……
それだけが、頭の中に浮かんでた
冷静になれた自分に感謝する
ユウ…すやすやと眠ってる…
抱き締めてる力を緩めると
「ん…」
ユウが、俺の胸に何度か顔を擦り付けて
また眠った
「ユウ…少しだけ…離れられる?」
ユウの頭を撫でながら
少し胸から離そうとすると…
「ん~~…」
すぐに胸の中に戻って来て
今度は、俺の背中にしがみ付いた
「ふっ…ごめん。離れたくないんだな」
あんな風に、ユウが想ってくれるなんて、思わなかった
嬉しくて…嬉しくて…
ずっとユウの中に挿れたいの…抑えてて…
「困ったな…ユウ抱き締めたまま…収められるかな…」
ユウの中…
女の人と違って、少しずつ準備しなきゃ挿れられない
って、四葉が貸してくれた漫画で知った
本気で考えるなら、ちゃんとそういう物、準備しなきゃだし
実際、挿れられる様になるまで、どれ位かかるんだろう
それまで、俺はちゃんと堪えられるかな
とにかく、ユウに今日みたいな事するなら、ローションだけは手に入れないと…
ちょっとした加減で、傷つけてしまいそう…
朔兄に…相談してみようかな…
あ…
ユウのしがみ付いてた手の力が抜けた
起こさない様に…
少しずつ…少しずつ…ユウから離れる
ごめん、ユウ…
やっぱ、収まんない
ユウに背中を向けて、手を動かす
「はぁ……っ…はぁ……はぁ……」
ユウの中…
気持ちいいだろな…
「っ……はぁ…」
ユウも…気持ちいいって、思ってくれるといいな
ユウ…どんな風に………
「あっ…ああっ!…シュウ!…やっ…ああっ!…気持ちいっ…~~っ!」
「っ!…んっ…はぁっ……はぁっ…」
ユウ…ユウ…
「あっあっあっ…ああ~~っ!」
「~~っ!…くっ…」
イキそう…
ユウ…
「シュウ?」
え?
ユウの声?
でも…今…止まんない…
「っ…はぁっ…っ…っ…っ…ぅっ…~~~っ!!」
ようやく、堪えかねてた物を、全部出しきる
びくびくと、余韻に浸ってると…
「シュウ?…起きてるのか?」
「…んっ…ちょっと……っ…もう…寝る…」
「ん…こっち…」
「ちょっと…トイレ…行って来る」
「うん…電気…点けていいよ」
「大丈夫…」
危なかった…
いや…バレちゃダメって事はないけど…
なんか、隣に居るのに、ユウのあんな妄想して、こっそりしてたってのが…
でも、スッキリした
洗面所を出て、部屋に戻ると
ユウの寝息が聞こえる
念のため、布団で寝るか
布団に入り
「おやすみ…ユウ…」
眠りに就いた
それから、どれくらい経ったのか…
すっかり熟睡してたら…
なんか…物音がする
人の気配?
「……え?」
後ろから、誰かに抱き付かれた
誰かって…
「ユウ?」
「なんでシュウ…こっちで寝てんだよ…」
「ごめん…トイレから戻ったら、ユウ眠ってたから…」
「ん~~っ…眠ってても…戻って来てよ」
「ごめん…そっち向いていい?」
ユウが、力を緩めたので
くるりとユウの方を向くと
「んんっ…!」
と、ちょっと不満そうな声で、俺の胸の中に入って来た
「ユウのベッド…行こうか?」
「こっちでいい……シュウが居るなら…どっちでも…いい…」
「ごめん…1人にして…」
「ん……」
今日は、ものすごく甘えてくれる
くっ付いてくれる
嬉しい
ユウにバレちゃいけないと、押さえ込んでた想いは、大きくなり過ぎて
ユウに、同じ気持ちを求めようなんて、全く思ってなかった
ただ…大き過ぎる想いで、ユウを困らせない様に…
なのに、こんなに想ってくれてる
こんなに貰えるなんて、全然思わなかったよ
翌日
調子が良くなった大和が、俺の家から戻り
俺も、家へと戻った
コンコン
「ほ~い?」
ガチャ
「朔兄…ちょっといい?」
「なんだ…その相談か」
「うん…その…ドラッグストアとかに売ってるのかな…」
「まあ、売ってるだろうが……ちょっと待て」
そう言って朔兄が、クローゼットの奥から、段ボールを引っ張り出した
「え~~と?あった、あった…ほい」
「え?」
「ローション」
「……ありがと」
「色々聞きたい事はあるだろうが…全て、ユウの為に大和が準備した物だ」
「大和が…」
「そ。他の物もさ…なんか、使うらしいぞ?全部説明書付きだから、お前の部屋持ってって、勉強しとけ」
「勉強……ありがとう…」
いつから、これ…
朔兄の部屋に、あったんだろう…
「それで?ユウには、入れられそうなのか?」
「分からない…まだ、指をほんの少し入れただけ…」
「先が長いな…2本位なら、結構すぐ入る…らしいぞ?俺のクラスの奴らの話によると…」
「………そうなんだ」
「まあ…男子校だからな…色んな奴が居るんだ」
「そっか…ありがとう…」
男子校…
男ばかり…
つまり、男同士で付き合ってたりする人が、居る可能性高いもんな
朔兄の部屋から段ボールを持ち帰る
色んな物入ってる
これ、全部使うのか?
なんか…色んな不思議な形してるけど…
説明書読んで、分かるのかな
それにしても…
さすが大和
俺達が、恋人同士に……なる前には、準備してたのか
改めて、ローションを手に取る
あれ?
これ、手付いてる
どんな物か、出してみたのかな
他の…これは?
1つずつ、説明書を読んでいく
…………………
ほんとに男同士は、皆こういうの使うのか?
こんな形の物達…
ユウに入れたりして、大丈夫なのかな
でも、あの大和が準備したんだから、ほんとに必要なんだろな
とりあえずは…
ちゃんとローション使って、まずは、あそこに何かを入れるって違和感に、慣れるとこからだ
今回は、なんか…
気持ち溢れてて、普通じゃなかったと思う
次にまた、受け入れられるかどうかは、分からない
だとしても、何よりユウの気持ちが大事だ
そこに、お互いの気持ちがなれけば、意味がない
進んだり、止まったり…
もしかしたら、少し戻ったり、また止まったりするかもしれないけど
同じ気持ちで、そういう事が出来たら、幸せだと思うけど
そういう事する為に、ユウと居るんじゃない
ユウと、笑って居られる事が、幸せなんだ
ユウはまだ、そういう世界を知り始めたばかり
戸惑う事も、不安も、俺の何倍もある
少しずつ…少しずつ…
ユウが、怖くない様に…
段ボールを、クローゼットの奥へと片付ける
朔兄が預かってたって事は、大和とそういう話してるんだろな
大和…心配でしょうがないだろな
大丈夫だよ、大和
四葉と約束したんだ
ユウの嫌がる事はしない
ユウを泣かせる様な事もしない
皆が大好きで大切なユウ
なのに、俺なんかと付き合う事を、そっと見守ってくれる、優しい人達…
大丈夫
誰より大切なユウ…
皆が安心出来る様に、大切にするから…
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