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第9話
二人で俺の家に帰った。
玄関に入るなり、立ったままキスされた。
白狼は俺を壁に寄りかからせ、覆いかぶさるようにキスを続ける。
唇を重ねるキスから、舌を絡ませる濃厚なキスへ。
俺はそのキスにとろけそうになる。
キス、気持ちいい……。
(可愛い。もっと可愛い顔みせて)
唇が離れた瞬間、もっとキスがしたいと感じた。
熱い身体で白狼にすがりつく。
キスしたい、もっと……!
白狼の熱のこもった瞳に、カッと火がついたような気がした。
白狼は俺の期待に応えるように、再び唇を重ねた。
キスはさらに激しくなる。
込み上げる熱に耐えきれず、身体を震わせる。
キスだけで、俺……。
俺はそのキスだけで達してしまった。
射精後の安堵感と飲み過ぎと寝不足が重なり、俺は眠りに落ちる。
「兎洞…? 寝ちゃった?」
白狼の声が遠くで聞こえた。
***
朝、目覚めるとベッドに寝ていた。
隣には白狼がいる。
俺は白狼の寝顔を見つめた。
昨夜のことを思い出すと、顔が熱くなる。
俺、昨日白狼と……!
キスだけで寝てるし!
白狼の唇に目をやると、昨夜のキスが蘇る。
キス気持ちよかったなあ。
夢より凄かった。
白狼の破壊力。
白狼の寝顔をみていた、キスがしたくなる。
おはようのキスしていいかな?
両想いだから、してもいいよな。
でも朝っぱらからあんなキスしたら、俺……。チュッて、軽い感じなら。
いや、でもーー
そんなことを悶々と考えていると、白狼が吹き出して目を開けた。
「起きてたのか」
「兎洞、朝から百面相だぞ」
恥ずかしすぎる。
白狼は俺にキスをした。
「おはよう」
「うん……おはよう」
クソかっこいい。
白狼に抱きしめられると、心臓がバクバクしてきた。
「着替えありがとう」
「兎洞、寝ちゃうんだもんなあ~」
揶揄うような、誘うような白狼の眼差しに、居心地が悪くなる。
「ご、ごめん」
「いいよ。寝顔見れたし」
白狼は俺の額にキスする。
その瞬間、心臓が跳ね上がる。
朝から濃厚白狼、心臓がもたん。
俺は起き上がる。
「白狼は仕事だろ」
「俺も休もうかな。兎洞と一緒にいたい」
心の準備が……無理!?
「白狼が休んだら、周りが困るだろ。ほら、起きろって」
「え~。じゃあ、今日も泊まっていい?」
泊まるって、そういうことだよな?
「ダメ?」
「ダメ……じゃない」
この甘え上手が。
白狼は上体を起こし、俺の耳元で甘く囁く。
「夢を忘れるくらい、気持ちよくしてあげるよ」
熱のこもった眼差しに見つめられ、期待と不安が入り混じり、俺はフリーズした。
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