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Ⅰ 第7話 ※

「ひっ…、ぅ……っ、……う」 シアンがずっと何も言わない。何もしてこない。 静まり返った部屋には、俺の鼻を啜る音と、途切れ途切れの嗚咽だけが嫌に大きく響いていた。 何もされていないからといって、安心できるはずもない。 何も起こらないまま時間だけが過ぎていくほど、次に何をされるか想像してしまって胸が押しつぶされそうだった。 今だって、シアンの纏う空気だけで、気を失ってしまいそうなくらい怖い。 「……っ…!」 とうとう静寂に耐えきれなくなって、何か言おうと顔を上げた。 その瞬間、シアンの指が顎に触れた。 「……!」 逃げる間もなく、そのまま上を向かされる。 無表情なシアンの顔が、ゆっくりと近づいてくる。 そして、唇を塞がれた。 「んぐっ……、……ふ……っ、ふぅ……」 すぐに熱い舌が口の中へ入り込んでくる。 何を考えているのか分からない。 ただ、これ以上シアンを怒らせることだけは怖くて、無意識のうちに自分から舌を絡ませた。 「んんっ……っ、ふ……ん……」 必死に機嫌を取ろうとするように、夢中で応える。 けれど、それも長くは続かなかった。 「…………」 ふいに、シアンの唇が離れていく。 「……ぇ……」 息を乱しながら呆気にとられ、視線を落とした。 「……っ」 下を向くと、いつの間にか両足を広げられて後孔が晒されていた。シアンの機嫌を取ろうとキスに夢中で何も気づいていなかった。 この状況に羞恥心をもつ余裕なんてない。 だって、シアンがズボンのベルトを緩め始めていたから。 これから何をされるのかなんて、簡単に想像できた。 俺のとは比べ物にならないくらい立派な屹立が目に入って、恐怖で肩が震える。無意識に後ずさった。 その足首を、骨が軋むほど強く掴んで引き戻される。 「ほんとはさ、初めてだから優しくしてあげるつもりだったんだよ?でも兄さん、ムカつくことばっかしてくるし…」 後孔にぴたりと凶器のように硬くなった陰茎を充てがわれる。 助けを乞うように、恐怖に震えながら顔を上げると、シアンと目が合った。深淵のように深く、暗く冷めた瞳に血の気が引く。 「もしかして、兄さんは優しくされるの嫌いなのかな?だったら俺も遠慮しないよ」 「え、まって、違…っ」 「待たない」 ぷちゅ、と音がして亀頭が入った瞬間、身体中に電流が走ったような感覚がして、腰がびくびくと震えた。 「ひい、ぃっ………!!!????」 なんで…!? なんでこんなに…、感じるんだよ! わかってる、どう考えてもあの薬のせいだ。 じゃなきゃ、ちんこ挿れられてこんなことになるわけない! 俺の陰茎はゆるゆると立ち上がって、勢いなく白濁を吐き出していた。 こんなのきっと、これ以上挿れられたら狂ってしまう。 「ぃあ、ぃ…、いや、だ…っ、まって、いれな、ぃでっ…!」 必死に首を振る。だが俺の言葉なんてまるで聞こえていないかのように、シアンはゆっくりと腰を進めてきた。 シアンのものが埋め込まれていくほどに、身体中が震え始める。 「あ゙ぁっ…、あ、あ、…ひぃっ……!!」 「はは、感じすぎじゃない?やっぱ薬効きやすいのかな?」 シアンは俺の痴態に満足したのか、先程よりも明らかに機嫌が良くなっていた。だけど与えられる刺激に耐えるのに必死で、そんな変化にも全く気づかない。 手の甲の血管が浮き出るほど強くシーツを掴み、歯を食いしばって必死に声を抑えた。 「ねー、見て。入ってるとこ」 シアンの子供のように無邪気な声が聞こえたかと思うと、いきなり髪を引っ張られ無理やり頭を上げられた。視線の先に、自分の中に肉棒が埋め込まれていく様がはっきり見えて喉が引きつる。 埋め込まれた陰茎は、まだ半分にも達していなかった。 「ゔ、そん…、な、の…っ、はっ、はいらない…っ…!!」 「入るよ。さっき慣らしたでしょ」 「むっ、り……ぃ、だって…、ぇ゙…!!」 シアンが一瞬も腰を止めず陰茎を沈めていく。 普通なら絶対に痛くて苦しいはずなのに、一番太い所まで入っても全く苦痛を感じなかった。 その代わりに、ずっと目の前で火花が散っていて、頭がおかしくなりそうなほどの快感が身体中を駆け巡っている。 これ以上やられたら、本当に壊れてしまいそうで怖い。 「あぁっ、…うっ、う……、いや、だ…、や、だって…えっ……!!」 「うるさい」 「ひ、……あっ────────~~~~!!!!!」 シアンの声が低くなり、不機嫌そうに舌打ちしたかと思うと、その瞬間一気に奥まで突き入れられた。 肉棒が奥まで達すると同時に、反り立つ俺の陰茎から勢いよく精液が飛び出して俺の顔を汚した。 身体を弓なりに反り、身体中が痙攣する。 「あれ、挿れただけでいったの?」 先ほどとは打って変わって、上機嫌なシアンの声が真上から響いた。ぼんやりと目を開けると、ぼやけた視界の向こうでシアンの唇が弧を描くのが見えた。 シアンがぺろりと舌を出し、見せつけるようにぺちゃぺちゃと音を立てて俺の顔についた精子舐め取ってくる。 そのまま耳朶を舐められて、耳元から聞こえる濡れた呼気に身震いした。 「ほら、全部入ったでしょ?」 「ぅあ゙っぁ…」 はくはくと打ち上げられた魚のように口を動かすことだけで精一杯だった。 痛みも苦しさもないけど、全ての苦痛が快感に変わってしまったように腹の奥が疼いて、身体中が性感帯になってしまったみたいだ。 離したくないとでも言うように、内壁がシアンのものをぎゅうぎゅうと締め付ける。 そのせいで、シアンの陰茎の形がはっきりとわかってしまって、まるでシアンの形を教え込まれてるみたいだった。 「兄さん、締め過ぎじゃない?」 笑い声とともに楽しげな明るい声が振り注ぐ。こっちはこんなに必死なのに、シアンは平気な顔をして乱れた俺を楽しげに見下ろしていた。せめてもの抵抗で、シアンをを睨みつける。 「あはっ、何その顔。かわいー」 シアンが俺の顔を覗き込むように顔を寄せてきた。今まで見た中で一番嬉しそうで、幸せそうな顔。いつもの冷めた作り笑いとは全然違う。 初めてシアンの人間らしい感情を目の当たりにした気がして、場違いにも少し驚いた。 「兄さん。何考えてるの?」 「あ゙っ………!!!!!」 奥まで埋め込まれていた肉棒が一気に引き抜かれて、息が止まる。 俺の両脚をシーツに押さえつけているシアンの腕に手を伸ばし、弱々しく首を横に振った。 「だっ…、だめ……、いま、うごかな……、あ゙っ」 シアンが目を細めたのが見えた瞬間、抜けそうなぎりぎりまで引き抜かれて、一気に奥に打ち付けられる。 身体の中から、ずぷんっと音がしたような気がした。目の前が真っ白になって、ちかちかと星が散る。 「ゔ、あっ────────~…!!!」 「あれ、もういったの?はやー」 そう言ってけらけらと笑いながら、シアンは全く止まってくれる気配がない。それどころか、律動はどんどん早くなっていく。 「ま…、まって…ぇ゙、いま…、い゙って……!」 「うん、いっぱいいってね」 「ぃや゙…っ、だぁっ……!」 「はは、かわいい」 笑顔のシアンの顔が近づいてきて、目の淵の涙を舐め取られる。 シアンはそのまま俺の首に顔を埋めて、首や肩に何度も吸い付いて赤い跡をつけていった。所有の証を刻むように。 何かに縋りたくなり、ほとんど無意識にシアンの頭を抱いて叫んだ。 「あ…っ、あぁ、しぁ……しあんっ…!!」 「なにー?」 「とっ…、とま゙って、ぉ…っ、ねがっ、ぁ、いぃ…!」 「やだよ」 俺の懇願とは反対に、シアンは獣のように激しく腰を打ち付け始めた。ベッドボードが壁にぶつかりガタンガタンと音を立てている。 「……うっ…、だめ、い、いく、しあっ…ん…!!!」 「あは、…俺も…っ…一緒にいこ、兄さん」 「あっ…、ひ、ぁ───────────────~~~!!!!」 身体がびくんと跳ねた。視界が真っ白に染まり、腹の奥底に熱が広がっていく。 中に出されたのだと理解するのに数秒かかった。 「あ……、う……っ…」 ぬぽっと音を立てて肉棒が出ていく。 中に出された精子が、とろりと太腿を伝って零れ落ちていくのが分かり吐きそうになった。 ぐったりとベッドに沈み目を閉じる。 やっと終わった、これで帰れるという安心感と疲労感ですぐに意識を手放しかけた。その瞬間、尻に硬いものが当たり驚愕で目を開ける。 「兄さーん?何勝手に寝てるの?」 「え……」 抱き起こされ対面座位の格好で膝に乗せられた。 拘束するようにきつく抱きしめられ、耳にふっと息を吹きかけられる。 「ね、もっかいしよ」 「…やだ、むり、できな」 「むりじゃないよー」 楽しそうに笑う声が、死刑宣告のように聞こえた。 がっしりと腰を掴まれ引き上げられたかと思うと、硬さを取り戻した凶器が後孔にあてがわれる。必死に逃げようとした瞬間、熱い杭が奥まで突き刺さった。 「あ゙あ゙…っ!!!!」 それから休む暇もなく、跡がつくほど強く腰を掴まれ上下に揺さぶられた。自重でさっきよりも深く奥まで届いている。 奥を突かれる度に達して、陰茎からとめどなく精液が溢れていた。もういきすぎて透明になっている。 「やだ、やだ…あっ…!…おぐっ、やめて…ぇっ……!あ、あっ、ひぃ…っ!!」 「んー?奥が好きなの?」 まるでどこかの王子様のように穏やかな笑顔で顔を覗き込んでくる。やっていることは悪魔の所業だった。 奥を何度も何度も叩かれて、すぐにシアンの膝の上で身体が跳ね達した。 息も多絶え絶えでシアンの胸に倒れ込むと、すぐに尻たぶを揉みしだかれ穴を広げられると、また一気に奥まで突き入れられた。 「ひぃ…、あぁ…っ────────!」 気持ちとは裏腹に立ち上がったままの陰茎からぷしゃっと透明な液体が飛び出した。 「あはっ、挿れるたびにいってる」 頭上から心底楽しそうな笑い声が落ちてくる。 場違いに明るいその声が怖くて、涙が溢れ出す。 その涙を指先ですくわれて、視線を上げると、笑顔のシアンと目が合った。 「も゙っ……、やめて……っ」 「んー、兄さんが喋れなくなるくらい頑張ってくれたら、やめてあげるかもよ?でもまだ話せるなら大丈夫だね」 「むり゙、ぃ…っ!!!」 一番弱いところを集中的に何度も擦られて突かれて、その度に白目を剥いて意識が飛びそうになる。 「そっ…、ぉ、そこ、ぃ、やだ…、ぁ゙っ……!…やめてっ、ぇ…っ、………ひっ、あ~~────────────!!!」 また頭が真っ白になってベッドに倒れかける。それさえも許されずシアンに拘束されるようにきつく抱きしめられると、息を整える暇もなく埋まったままの肉棒が動き始めた。 「ぁ、あっ、や…っ、も、できな……っ」 「はははっ、頑張れー」 俺の必死の懇願を聞いても、微塵もやめる気のない心底楽しそうなその声を聞いて、心がずんと沈んでいくのがわかった。 ぼろぼろと涙がこぼれ落ちる。 「うっ…、ぁ…、う…ぅ、……」 もう限界だ。 おかしくなる。 もうできない。 帰りたい。 師匠に会いたい。 「し、ししょ…ぉ…、たす、けて…っ…」 無意識に口が動く。 本当に助けて欲しいのだ。 俺は師匠の姿を見るだけで、たったそれだけで、心の底から安心できるのに。 今ここに、師匠はいない。 「し…、しょ……」 その瞬間、脳が揺らぐほどの衝撃とともに視界がぐらりと傾いた。シーツにぼすんと倒れ込む。 「ぇ……」 頬がじんじんと熱くなっていく。 視線を上げてシアンが手を振り上げているのを見た時、漸く殴られたのだとわかった。 息をつく暇もなく2発目が反対側の頬に飛んできた。 顔からはじき飛ばされて、身体がぐるんと反対を向く。 「お前さぁ、殺されたいの?」 地を這うような声に、息が止まった。 髪を引っ張られたかと思うと、シアンの顔が鼻が触れるほど近くに迫り、深淵のように暗く静かな赤色と目が合った。全身ががたがたと震え始め、歯がカチカチと鳴った。 その目を逸らすことも、息をすることさえも許されないような気がしてくる。 回らない頭でも、本当にまずい状況だということだけはわかった。涙も止まり、全身が震えるほどの恐怖に血の気が引いてく。 あまりの恐怖に思わず口を引き結んだが、そうするのが遅すぎた。

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