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催眠って……催眠って…… 5

 浴室から出てへにゃっと座り込めば、さっぱりしただろさあ言えとばかりに高峰がにじり寄って来る。 「意見って何を言えばいいんだよ」 「どういう台詞が良かったかとか、全体の長さとか、誘導の自然さとか」 「誘導って……?」 「今回は洋館の地下室に行っただろ?」 「あ、あーー、そうだった」  前に借りたディスクのやつはメトロノームの音に合わせて女の子が二人で左右から囁いてきたんだけど、今回は雰囲気も全然違ってて。 「なんかほろ酔いで気持ちよくて、でも高峰にちゃんと意見言わなきゃって思って寝ないようにって真剣に聞いてたらなんか……」 「変な感じとか違和感はなかったか?」 「たぶん……」  普通に引きずり込まれてたと思う。っていうか、たぶん高峰の声に引っ張られたんだと思うけど、恥ずかしくて言えない。 「焦らしの長さは?」 「キツかった!」  1で止まるのを何回もやられたやつだろ? マジ勘弁してほしかった、そう俺が訴えれば、あれやればやるほど反動でクルんだよって返された。 「意味のわからなかったって言ってたカウントダウンはどうだった?」 「やばかった……アレなに。チンコ触ってないのに身体も頭も変になりそうだったんだけど……」 「暗示による脳イキだよ。だから連続できる」 「アレ、やばくねぇの? 合法!?」  思い出すだけでゾゾ……としてくるけど、今はしっかり覚醒してるからか反応はしない。  クックッと高峰が笑って「非合法な声とかあんのかよ」って言った。だって、あんなのおかしくね? って言おうとしたのにその心底楽しそうな顔を見て心臓がキュッとなる。 「……高峰ってドSってやつなん?」 「うーん。どっちもあるっていうのかな。最初は自分が萌えるシチュエーションで書いてたんだけど、購入者の感想とか見てるうちにもっとそういう反応が見たいってなってさ」 「うそだぁ……」 「嘘じゃないし。聞く側の気持ちだってわかんなきゃ独りよがりな作品になるだろ」  そう言われるとそうかもしれないという気分にもなるけど。  でもとりあえず高峰に聞かれるがままにご意見ご感想ってやつを答えていった。  俺が何度も訴えたのは「あれは初心者向けじゃない」ってこと。でも、高峰は「あれはドM向けだからいいんだよ」って言う。なんでそのドM向けを俺で試すんだよ、おかしいだろ。  高峰にベッドを使っていいって言われたけど、催眠のことを思い出しちゃいそうで俺は床に寝た。  翌朝洗濯物が乾いていたから着替えて帰ったわけだけど……俺はやばい扉を開いてしまったのかもしれない。  

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