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普通のオナニーじゃ足りない…… 1
「クソ……物足りねぇ……」
俺はいつものようにエロ動画を見ながら自己処理をしてたけど、このところ一番のお気に入り動画でも満足できてない。俺は一回イケばすぐ賢者タイム突入型ではある……でも一回しかイかなくてもそれでスッキリできなかったことなんてないのに。
高峰に借りたままのディスクをあれから何度か聞いてみたけど、やっぱり催眠状態になることはなくて、それで声優とかシナリオでかかりやすさが変わるって言ってた高峰の台詞を思い出した。
だから検索していろんな催眠音声とやらを聞いてみたんだけど、やっぱり無理だったんだよな。
「あー、やっぱ俺かかりやすいってわけじゃないじゃん。アレなんだったんかな……」
出してはいるのにスッキリしない日々が積み重なっていく。
ついでに最近高峰の顔を見ていない。アイツ、どうしたんだろ。急に訪ねていったら迷惑かな……とまで考えたところで、高峰のよくしていた嫌そうな顔を思い出す。
ゾワリとした。
「なんだ?」
ゾクゾクする首筋をさすって気持ちを落ち着けると、連絡なんてしてないけど、少し様子を見に行くだけだと高峰の家に向かった。
もしかしたら風邪引いてダウンしているかもしれないと、スポドリやらお粥やら栄養ドリンクなんかも買ってしまった自分に呆れる。元気かもしれないのに何やってんだろ……。
――ピンポーン
古臭いチャイムが鳴るが返事はない。やっぱいないか、って帰ろうとしたら玄関が開いた。
「あ?」
「高峰……いるじゃん。つーか、何その格好」
「修羅場」
無精髭にクマをこさえて顔色が悪い高峰がぬぼっと立っている。聞けば販売用の商品のパッケージの締め切り直前という状態だった。
ネット販売じゃなくてパッケージ販売のやつはどうやらいろいろやることが多いらしい。声優やら絵師やらなんやらにコメントもらったリーフをつけたり別作品の割引チケットをつけたりとかなんか自分でいろいろサービスをやってるんだそうだ。
「そういうのしょうがないんだろうけど、最低限寝て食べろよ……ひでぇぞ」
「できる状態ならしてる」
「これ、風邪かもと思って買ってきたやつ。風邪じゃなかったみたいだけど、似たようなもんだから食べろ」
ん、と買い物袋を押し付けて帰ろうとすると、手をつかまれた。
「予定がないなら寄ってけ」
「修羅場なんだろ?」
「そう……。でも、猶木がいたら強制的に休める」
これは一応頼られてると思っていいのかな。『仲良くない』から少しは進歩してる? へにゃっと口元が緩みそうになるのをこらえるけど、無理にこらえて変に口元がピクピクしてしまいそうだ。
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