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催眠≠夢 3

「じゃあ聞くけど、お前イッたの?」 「むしろ何故イかずに終われると思う?」 「いや、ならいい。俺だけ良くなってたんじゃなきゃいい」    高峰はなんとも微妙な表情で俺を見てため息をつく。なんなのさ、その顔は。お……俺はお前を気遣ってだな……。   「ちゃんと、ヨシヒサの中でイッたよ。ゴムはしてたけど」 「ばっ!」    コイツ、絶対俺より優位に立とうとするんだよな……。俺が少し余裕かますとそれ以上のこと言って俺を絶句させるんだ。まあ、そういうところもちょっと可愛く見えてくるもんだけど。……可愛くってなんだよ。高峰はただのエロ眼鏡だってのに、俺もそうとう頭おかしくなってきてる。  俺が失神しなけりゃコイツがイくところ見れたのか。いつも見られてるだけだから悔しいな。  いや、べ、別に見たいとかそんなんじゃ……見たい、けど。催眠だけで終わらせると高峰は俺がいなくなってから抜いてるっぽいから、見るにはやっぱ尻を差し出すしかないか。まあ、それはもう経験済みだからいいけど……って、いいのか? うーむ。   「何ひとりでブツブツ言ってんの?」 「いや……」    俺がひとりこんな変なことを考えてるなんて高峰は思ってもないんだろうな。すまんな、高峰。  いや、でもコイツだって俺より自制心が強いだけで別に嫌なわけじゃないんだろうし。   「猶木って友達も多くて陽キャっぽくワイワイしてるのに、本当はそうやってひとり悶々とすること多いよな」 「あ?」 「そういうとこ、みんな知らないんだろうなって思うとちょっと」 「ちょっと?」 「優越感?」    何言っちゃってるんですかね?  すでに他のやつらが知らない俺をめちゃくちゃ知ってるわけなんですけど? なんなら昨日セックスしましたよね?    そんなことを俺が言い返せば「まあ、それはそうなんだけど……」と口ごもる。性的なことはあまり言わないのが普通だからとかなんとか。   「俺とは『仲良く』なった?」 「なんでそこにこだわるんだ? そういうの必要?」 「いや、出だしが『仲良くないから下の名前は教えない』だったから……」 「そういえばそうだったっけ? ……まあ、お前は唯一無二」    口から心臓飛び出るかと思った。驚きだけじゃなくて嬉しいようななんというか、ようわからん感情だ。あ、いや、やっぱ嬉しいかな。  じわじわと胸の中に広がる気持ちを抑え込むのに口元がピクピクしてくる。   「お、俺もとうとう飛び級で昇格!」    高峰に意味がわからんと言われつつも、俺は感動をぶちまけてドン引きされていた。  

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