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奇妙なこと。試し読み
……。 ぞわっと寒気が押し寄せた。
「君もこのぬいぐるみ好きなの?」
どう答えるべきなのか迷ったが
「あ、はい」と答えた。
男はここ最近で見たことのない顔になる。顔は赤らみ、にまっとした笑顔でぬいぐるみに話かけ始めた。
「いいよね、ああ、食べちゃいたい」
……。こいつ俺より危ないやつなのではと身の危険を感じ、その場を後にした。
男に見つからないようグロテスク人形のグッズを数点購入して店を出た。
「あれ? 柚月?」と声をかけられた。
? 振り向くと幼馴染で同級生の大樹(たいき)がいた。
「お前、今アヌメイトから出てきたよな、いつの間にオタクになったんだよ」
「いや、これには少し訳があって」
「まぁいいや、これからダチと合流してゲーセン行くんだけどお前もどうだ?」
「いや、やめとく、行くとこあるから」
「そっか、んじゃ学校でな」
大樹と別れた。
学校……。
実をいうと職業学生だ。
渋谷近くにある、高校に通っている。
家が殺し屋の一族でそうなってしまったから仕方がなく、少し高校生に憧れもあったから今の生活に不満はない。
報酬金額はたんまり貰えるし、好き放題できるなら特に問題はない。男がアヌメイトから出てきた。
後を追いながらも慎重に男を誘導した。
一般人では見つけにくい箇所に例のグロテスク人形を置き、男を誘導していく。
廃墟ビルに男を誘導でき、ナイフを取り出す。
ここなら俺のテリトリーだし、グロテスク人形のガチャガチャもない。
アヌメイトで顔がバレてしまったので、顔がバレないように目出し帽を被り、男の背後に立った。
だが、思えば身長差がありナイフが首に届いていないことに気が付いた。
平均身長以下の百六十二センチ。二十二センチ差はどうにかしないと、と考えていると男が振り返りこちらを見た。
やばっ。
ぱしっと手を捕まれ、身動きが取れなくなる。なっ力つよっ。
「君、誰? このナイフはなに??」
ずいっと顔が近寄る。!?
どうにかして抜け出さないと。
体を浮かせ腕の軸で男の顔を足で蹴りうまれた隙でどうにか逃げられた。
男は膝をつき、なにやら地面を触っている。
……。
俺は逃げるようにその場を後にした。
平日を迎え、学生の職業に戻る。
だが、男の殺し方について悶々と考えていた。
問題は背の高さ、力も強かったし、組み敷いたとしても簡単にひっくり返されそうだ。どうするべきか。
「柚月、なに考えてるの?」と大樹が話かけてきた。
「大樹、問題」
「え!? 突然」
「大きな熊と森で出会いました、背も高く力が強く、熊を倒すことができません、そういう時はどうする?」
「え、それは逃げればいいんじゃないか?」
「……逃げ道がない場合は?」
「うーん、むずいな、道具とかはあるのか?」
「道具は……ナイフと縄と閃光玉」
「んじゃ閃光玉投げて、目くらまししたところを縄でうまく熊に巻いて最後トドメでナイフってのは?」
「大樹お前ナイスすぎる」
「いや、簡単だろ」
実行は今日の夜だな。
男の居場所を調べるとまた渋谷に出没している、昼間から暇なのかガチャガチャを漁っているのか……。
カバンにしまってある。
シークレットの人形。最後男をシークレット人形のようにしてやる。
帰宅道
俺は思わぬ人物と再会してしまった。
男は俺と目が合うとズンズンとこちらに歩いてきた。
「君……ルーガちゃん」
ひぃ…………「あ、また会いましたね……」
続きは文学フリマ東京39またはDLsiteまたはBoothにて!
発売に関しては12月1日以降になります。
詳細などはXまたはnoteに掲載してます。
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