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君が選ぶベッドは最高級だ
それよりも俺は来客した人が俺のベッド脇に立っていることがなによりも驚きだった。
「あの、は……服部さん、ご用はなんでしょうか?」
『え、服部マネージャー?』
この声は俺には聞こえていない。
しかし俺の声と服部さんの声ははっきりとみんなの耳に届いているという状況だ。
「さっき言っていたでしょ、俺の部屋のベッドのほうが心地いいって、だから試しに来たの」
「はい??」
一日着ていた服のまま俺のベッドにインするなんて考えられない、どんなイケメンでもそれはやめて、俺の快眠ベッドなのだから!!!
座る瞬間に俺は服部さんに抱きついた。
「どうしたの?」
「し、失礼します!!」
と俺は目の前の人のスーツを脱がせ嗅いだのだった。
「えっと……」さすがに動揺するよな、でもこれは俺には重要なことで
匂いチェックだ、汗臭くない……。香水は? 臭くない。
え、イケメンって無臭なの?
「高嶺くん? もしかしなくてもベッドに乗られるのは嫌だ?」
「はい、一日着ていた服で寝られるのは常識的に嫌です」
そうはっきり伝えた。
そしたらパソコンからイヤホンの線を抜いた。
『みんな、お疲れ様、今ね、高嶺くんの部屋にお邪魔しているんだけど』
『ちょっ、なに喋っているんですか? むぐっ』口元を抑えられた。
『今日高嶺くんに特別営業してもらったんだけど自分の部屋のほうが快眠ベッドですって言い切られちゃったから試しに来たんだけど、彼面白いね』そう告げた。
反応に困る告げ方をしてみんな困ってるだろ!!
『あ、はい高嶺、実は面白いんですよ』と発言したのは岬 だった。
元東京地区の特別営業として活躍していた女性社員だ。
とある事情で事務作業メインに移ったのだが俺の面白いネタを持っていると言っているかのようだった。
『岬、今度聞かせてくれる?』
『もちろんです』
女性社員からしたら服部のアプローチは最高に嬉しいだろ、でもこの岬は他の女性社員とは少し違う。
『あ、横溝くんもいるじゃん、元気してた?』
『は、はひっ元気であります』
みんな服部さんに対して面白い反応で少し笑ってしまった。
「なに、一人で笑ってるの?」
「いえ、なんでもありません」
「そう、じゃぁ私はもういくね」
「はい」
服部さんが部屋から出た後の夕会は盛り上がった。
「ふぅー今日も疲れた、寝て明日にしよ」
俺の睡眠時間は八時間だ、これは絶対に揺らがないようにしている。
しかしお客様がご宿泊になった時は身のまわりのお世話をしなければならないのでそう我が儘も言ってられない、なかなかいないけど。
次の日
六階の呼び鈴が鳴ったので降りてみると
「やぁ」と服部さんは来ていた。
「た、たしか十五時からのお約束では?」
「うん、そうなんだけど少し早めに来ちゃった、仕事平気?」
「事務作業なので問題ないですが十五分ほどこちらでお待ち頂いても問題ありませんか?」
「うん、いいよ」
「珈琲はブラックですか?」
「ああ、甘党でさ、砂糖は四つお願いします」
「かしこまりました」と丁寧に珈琲を入れお出しした。
「ミルクと砂糖はこちらにございますので」と立ち去る。
部屋に戻り事務作業をしていた仕事を一度切り上げる、もちろんそれをチャットで伝え六階に戻った。
「君は珈琲入れる天才なのか?」
「お客様には秘密ですがドリップ珈琲ですよ」
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