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憧れの人 試し読み

四月三日羽山(はやま)高校の入学式が行われた。  春らしい気温と桜が満開でとても居心地が良かった。  クラス分けテストを前日に行い、入学と共に張り出されたクラス表を睨む。  知っている名前がそこにあったからだ。  しかも俺の憧れの人の名前だ、中学が一緒でずっとつるんできたのに一月に入った頃に急に俺から離れ連絡も取れずほぼ音信不通状態だった憧れの人、 学校ですれ違っても無視され目線を合わせようと頑張るもそらされそれが続きてっきりもうそれっきりだろうと思っていたのにまさかの再会できることに俺は少し嬉しく思っている。  浮いた気分でクラスに入り、黒板に張り出された席順を見た。 「小笠原奏太(おがさわらかなた)」出席番号五番、後ろを振り替えり席を見つめるもそこにいたのはまったく知らない人だった。 「誰だよ」と呟いてしまう。 「あ、お前、聖ヶ丘(ひじりがおか)中学のヤンキー、瀧澤翼(たきざわつばさ)だろ」と声をかけられたのだ。 「誰?」 「あ、俺同じ中学の小鳥遊(たかなし)っていうんだ、よろ~」とまぁ気軽なやつが話しかけてきたのだ。  まぁ別に俺に対して敬語とかいらないけど。 「お前、同じ中学なら小笠原奏太って知っているか?」 「ああ」 「瀧澤と同じでヤンキーだったし有名だもんなぁ、てかさっき挨拶したんだけど、五番の席のやつ違うみたいだぞ」 「やっぱり……同姓同名ってやつか」 「みたいだなぁ、お前ら仲良かったし、てっきり同じ高校かと思ってたのに」 「俺もそう思ってたよ、ずっと一緒にいるもんだと思ってたから」 「だよな、なんか辛いな、そういうの」 「ああ」  そう俺は結構辛い思いをしたのだ。  だがそれも仕方ない小笠原奏太はこの学校にいないのだから。  それにしても俺が出席番号二十番で目の前には小鳥遊がいて……。  くそ、あの可愛い笑顔思い出しちゃったじゃないか、あー会いたいのに……。  俺に向かってにひっとした笑顔は殴り合いをした後、絶対に見られる俺に向けられた笑顔だった。  やばい、思い出しただけで勃起する。  トイレに行きたいがもう少しで担任も入ってくるし平常心、平常心と自分に言い聞かせた。  担任が入ってきた自己紹介になり、五番の男が立った。  髪はボサボサだし眼鏡をかけいかにもぼんやり系だろ、あの素早い動きとか出せなさそう、地味系オタク男子みたいで正直見るのも嫌だし、殴り飛ばしたいと思ってしまう。  落ち着け、俺は高校に入ったら売られた喧嘩は買うけど自分からは動かないと決めたんだ。  奏太がいたから俺は楽しかったのにお前がいない世界なんて俺は嫌だ、だいたい離れるぐらいならキスして抱きしめて告白すればよかった。  俺も奏太も男だけど、それでも俺は彼のことが好きなんだ。 「えっと小笠原奏太です、よろしく」とボソボソ呟いていた。  絶対に仲良くできない人種だ。  クラスのみんなも笑っていた。  こりゃ遅かれ早かれいじめの標的になるのは目に見えている。 「次、瀧澤」 「聖ヶ丘中学から来ました、瀧澤翼です、よろしく」 「え! 聖ヶ丘中学のヤンキーじゃん、俺と仲良くしようぜ」と言われいちを手を挙げておいた。  俺はいちを有名らしい。 ホームルームが終わり俺の周りには人だかりができていた。 今までは小笠原奏太の金魚のフンとしておこぼれをもらう時もあったが今はそうじゃない、俺としてみんなが周りにいるのだ。 別に奏太の金魚のフンは嬉しいんだけどさ、思う分は違うところもあって反感買うとか普通にあった。 奏太、弱い者いじめとか助けるタイプで誰にでも笑顔だったし、まぁあの

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