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四つ葉のクローバー 試し読み

斎木家の地下ホールまで戻ってきてとりあえず会議を行う。 「んはぁーっ疲れたぁ~」 「みんなお疲れ様、すごく良かったよっていうとおかしいかな、プロだもんね」 「そうですね……」  珍しく静まりかえる四人と監督責任である九条(くじょう)さんは引きつった顔をしていた。  まぁその原因はなんとなく分かるんだけど。ソファーで寛いでいてちらっと横を見れば俺の腕にしがみついている奏音がいたからだろう。  律がなにか言いたそうな顔をしているがあえて振らないでおこう。 そして目配りのように九条さんが助けてと見ていたので俺は立ち上がり「次の予定の確認をお願いします」と言った。 そして奏音から遠ざかる。 「ちぇっ」と聞こえた。 「おまえら付き合うのか付き合わないのかどちらかにしたらどうだ?」  そう言われてしまい奏音のほうを向くと軽く手を振っていた。  ということは期待はしていないということになるだろう。まぁ奏音がなにを考えているのかは分からないが奏音がもし俺を選んでくれるなら俺は迎え入れる準備ができているからと思い九条の話を聞いた。 「えーでは来週は響くんが一人コンサートに出演で、律くんは違うコンサート会場にゲストとして参加だね、四人揃うのは……クリスマスの時だけだね、いちを現場監督との顔合わせは斎木くんいいかな?」 「ふぇー現場監督誰ですか?」 「えっと綾小路東雲(あやのこうじしののめ)さんだね」 そう聞くと奏音はビクンと肩を奮わせていた。 「……分かりました、九条さんももちろんついてきてくれるんですよね?」 「あ、うん挨拶程度にね、そこで演奏する項目とかは二人で決めたいって言ってたから多分僕は途中で抜けるかもしれないけど」 「……そうなんですね、了解です」  これはなにかあるな、綾小路東雲さんって言ったら女の子にすぐ手が出るって話しだ、俺もついていこうかな。 奏音可愛いからちょっと心配なんだけど……。 か……可愛いは大袈裟かな「黒い髪が焼けたから茶色になった~」っていう衝撃な事実を口にしていた奏音はそれも可愛いし仕草も可愛い、顔は童顔なのか二十四歳には見えない、律は逆に二十歳なのに老けて見える、怒られるから言わないけど、響は二十一歳それなりの歳の顔、で俺は二十六歳、まぁ普通だろう、というか大学を飛び級して卒業しているからこうして仕事につけるということだ。 特にすごいのが奏音、あのヨーロッパで有名なミンティア音楽大学を十九歳の時に首席で卒業していることだ。  やっぱ俺たちとはレベルの差を感じる、俺だって海外で有名な音楽大学卒業しているけど、やっぱなんかこう染み出るオーラが違うっていうか、本当に奏音好きだわ。  奏音が奏でる音も名前の通りっていうか一音で音色を奏でているっていうかC単体でも続く音が輝いているというか……。 多分一般の人には伝わらないかもしれない。だから俺も奏音の音を真似して弾いてみたりしている。そしてだんだんと彼のことを好きになってしまう結果に……。 「志揮!! 志揮!! ってば!!」  俺は呼ばれていたらしい。 「どうした奏音?」 「もういい」と膨れてそっぽを向いてしまった。 いや、それも可愛いんだけど……。  ということで俺たちは四台ピアノコンサートの演目が決まるまで各自自主練ということになった。会えないのは寂しいが仕方がない。 「着いたよ~」車から降り到着したのは、都内某所 ピアノ販売店。  なにもありませんように、なにもありませんようにと願っているのは俺だけだろう。  綾小路東雲と言えば元彼氏……。 寄りを戻そうというメールが最近増えたのもきっとこのためだろう。  すでにバツイチで子どもも二人いて、奥さんのところにいるとのことで会えなくて寂しいとかなんとか連絡が来る、そして極めつけには『慰めて♡』だ。 これ絶対に俺今日掘られるなぁ~なんて考えてしまっている。 「九条さんお願いがあるんですけど」 「ん?」  お店に入る前に九条さんを引きとめた。

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