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そのドアをあけてはいけない
家が近くで良かった、これで電車降りてマンションまで一人だったら僕は走って帰っていたと思う。
未だに和の腕にがっしりと掴んでしまっている。
「なぁ今夜一人で眠れそう?」
「へっ……むぅりぃ……」
「だよな……俺んちくるか?」
「行く!! あ、でも課題あるから僕んちよっていい?」
「おう! もちろん」
和は一緒に僕の家まで来て外で待っていてくれた。
「結構課題出てるね」
「うん、なんか内納ないの先生の授業、毎週課題出すらしくて、それ先輩に聞いたの履修登録出してからだったからさ……。鬼畜すぎて辛い……」
「そっか、分かんないとこあったら聞いてね」
「ありがとう!! 本当に和は優しい」
マンションの廊下で歩きながら話していると物音が聞こえた。
いやいやいやいや、気のせい、気のせい。と思い和の家へと向かった。
もう見慣れた部屋に僕は上がり込む、そしてすとんと定位置に座ると
「なぁ、さっき真木の家から出た時物音しなかったか?」
「へ? いやいやいや気のせいだよ、僕聞いてないし」
そう焦りながら言うと
「お前、本当は怖いんだろ……くくくっ」と笑っていた。
「うぅぅ……和の意地悪……」
「お風呂入れるか?」
「うぐっ……ばっか!!」
となんともまぁ子どもの喧嘩のように和の掌の上で遊ばれているようです。
「んじゃぁ先に俺風呂入るから課題とか準備しておきな」
「べーだ」
和のことをしっしと手を振り見送った。
はぁーもう僕そこまで怖くないもん……。
課題をテーブルに出し広げた。
今時ワードの提出ではなく紙媒体って内野先生古すぎる……。
まぁでもおじいちゃん先生だし、仕方ないのかもしれない。授業取る人そもそも少なかったし……。
シャーペンを動かし課題をこなしていると窓側からカリカリと音がした。
「ん?」
いやいやいや違うって絶対に……。
僕は座ったまま動けないでいた、でももしそのカリカリの音がゆ……幽霊だったら??
そもそもここ五階だしそれはありえないか……。
ん? 幽霊に五階とか関係ないか……。
じゃぁなんだろ、人間? の可能性は低いし、動物とかの可能性のほうが大きいか。
僕は意を決して窓の傍まで行き、カーテンを捲った。
外を見ると赤い掌の形をした痕が窓にあった。
「ひぃぃぃぃぃ!!!!」
僕は驚きドタドタと走って風呂場に駆け込んだ。
そして抱きつく。
「おわぁ!? びっくりしたどした??」
「ひぐっ……和……幽霊…」
「はぁ?」
和は髪の毛を洗っていて両腕を上にあげていた。
僕よりも背の高い和のお腹あたりを強く抱きしめる。
「ってちょい! お前服着たままじゃん」
「うぅっだって……」
「ちょい待ち、脱ぐか? それ寝間着だったんじゃないのか?」
「うっ……ごめ」
がっしりと僕は和にしがみついて離れようとしないので和は戸惑っていた。
「はぁー仕方ないな……はい、ばんざーい」
泡がついた手で僕の服を脱がし裸になった。
状況をちゃんと把握した僕は今自分がどういう状況かを見て……。
「へ? 変態!!」と和に告げた。
「いや、変態ってどっちがだよ、風呂場に来た真木のほうが変態だろ、てかなに一緒に入りたかったのなら言ってくれればよかったのに」
にひっと笑った和に僕はどうしようもない気持ちになったが落ち着き。
「ごめん」と伝え軽く体にお湯をかけ湯船につかった。
「まったくだよ、意地張ってると本当にお化けくるかもな」
そうまた追い打ちをかけてきた和、そういえば一緒にお風呂入るのも久々かもしれない。小さい頃……といっても中学生くらいだけど。
修学旅行とか……。
続きは文学フリマ東京39にて……。
今回はラストエンドが読者様でお選びいただけます!!
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