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第7話 歓び

 ガクンと力が抜けた体を抱きとめた。  春樹は五年経っていても体格はそう変わっていないようで、腕にかかる重さは記憶と寸分違わない。  すんっと体臭を嗅ぐと爽やかなコロンに混じって、女物の香水とアルコールの匂いがした。  香水の匂いが移るほど女を近づかせたことに腹が立ったが、今となってはもうどうでもいい。  やっと手に入れたんだ。  逃がすつもりはない。    俺は春樹を横抱きにすると、この建物の正面で待っている康明の元へ向かった。  階段を降りると康明は車のドアを開けて待っていた。   「やっとだね、貴明」 「ああ、ようやくだ」    俺と春樹の姿を認めて、康明はにこりと微笑んだ。  車に乗ると康明は恭しくドアを閉め、運転席に滑り込んだ。  そして、空港へと向かう。  ハイウェイを使って空港に着く頃には、白々と朝日が地平線が漏れ出ていた。  未だ、春樹が起きる気配はない。    空港に着くと係員に誘導され、車はプライベートジェットに横付けた。  康明がドアを開け、俺は春樹を抱えてプライベートジェットに乗り込んだ。  今日のために買った特別なものだ。    機内に入ると広々としたリビングルームが俺たちを出迎えた。  ホワイトとブラウンで統一された機内は、上品な雰囲気を醸し出している。  そこを通り過ぎ、奥にあるベッドルームに入った。   「あとは頼んだ」 「うん、任せておいて」    出国手続きは康明に任せ、俺は春樹との蜜月に身を投じた。  まずは不快な香水の匂いを落とすために服を全部剥ぎ取り、用意してあったホットタオルで全身を拭った。  何度も鼻を寄せて匂いが落ちたのを確認し、ようやく落ちたころにプライベートジェットは離陸した。    俺は春樹にキスをしながら全身を愛撫した。  五年前のあの日、俺は激情に支配されて手酷く抱いてしまった。  だから春樹は逃げてしまったんだ。  俺は二度と同じ轍は踏まない。    春樹の快感を引き出すことが最優先だ。  乳首や太ももの内側を撫でると、春樹はピクリと反応した。  そういうところを重点的に触り、控えめに勃ち上がったそこに手をかける。  ゆるゆると扱くと春樹は悩ましげな声を漏らし、俺を欲を煽った。  前を触りながら温感のジェルで後ろの窄まりを撫でる。  慎ましく閉じたそこを撫で解し、指をゆっくりと中に入れる。  熱いそこは俺の指を歓迎するようにぎゅうっと締まった。  ゆっくりと、あくまでもゆっくりと動かしながら春樹の快感の芽を探る。    それは腹側にあった。  こりっとした膨らみを撫でると春樹の体はびくんと跳ね、「あっ……」と声を上げた。  顔を見ると快感に赤くなり、眉は耐えるように寄せられていた。  俺はそこを押し潰しながら後ろを解していく。    充分に解れたところで指を抜き、自分の猛ったものを充てがった。  春樹のそこは俺のものに吸い付くようだった。  ぐっと押し入ると柔軟に受け入れ、飲み込んでいく。   「うあっ……う、んっ……あ……」    中が擦れるたびに春樹は快感に声を上げ、俺は堪らず一気に奥まで入れてしまった。  それでも、春樹の中は健気に俺を受け入れ、絞るとるように蠕動した。  春樹の呼吸に合わせて揺さぶると、ぐちぐちと卑猥な音が聞こえてくる。  春樹もまた気持ちいいようで、可愛い声を上げている。  馴染んだ頃合いを見て、俺は春樹の快感の芽を押し潰した。   「ひあっあ、ん……あ、ああっ……」    快感の度合いに合わせて、次第に春樹の声も大きくなっていく。  その姿にまたも煽られて激しく突くと、流石に春樹は目を覚ました。   「あっあ……、え? ひっあ……! な、んっ……たかあき……? なに、っあ……やめろっいや、ああっんあ……!」    戸惑い、拒絶し、それでも快感には抗えなかったようだ。  いやいやと首を振り腕を突っ張るが、力の入ってないそんなものは抵抗とは言わない。   「久しぶりのセックスだ。気持ちいいだろ?」 「そんな、ことっ……」 「これでも?」 「んああっ……いや、そこっだめ……あ、ああ、んんっ」    とんとんと春樹のいいところを突くと、春樹は涙を流しながら喘いだ。  その可愛い唇を貪り、奥の奥まで支配する。  日本に着くまでの十二時間の間、俺は思う存分五年ぶりの春樹を堪能した。

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