この学園のどこかに、三年に一度咲く花がある。 　その花を手に入れると必ず恋が叶う――。 　そんな作り話のようで本当の話がこの学園にはある。 　三年に一度という長くもなく短くもないその開花周期のわりに、その花の写真などの記録はない。 　花が咲く場所はランダムで、加えてその花だと認識するのは想い人と結ばれて「そういえば……」と振り返って初めて気付くからだ。 　ただ、白くて小さな花が一輪だけ咲いていたという曖昧な情報だけが先輩から後輩へと語り継がれていた。