紀元前三世紀ころのエジプトの数学者、ユークリッドにより編纂された幾何学は、現代でも継承されている数学の原理を表している。 　彼は雄大なギザのピラミッドを眺めながら、何を思い描いていたのであろうか。 　ユークリッドは幼少の頃、両手を太陽に翳すのが好きだったという。その手の隙間から漏れ出る陽光が、まるで宝石のように美しいのだと。 　そして彼の足元には無数の図形が描かれていたそうである。 　だが彼が本当に解き明かしたかったのは幾何学に関する、まだ証明出来ていない理論だけだったのだろうか？ 　あるいは、彼が本当に解き明かしたかったのは、自分を含め、数多の人々を司る「運命」という理論の証明だったのかも知れないーー。 　あなたは運命を信じるだろうか？ 　この世に生を受け、誰かを愛し、やがては塵へと還っていく一生を、何者かが定めているとしたら。 　あなたはそれを信じることが出来ますか？