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なんかムカつく
「おーい、蒼也ー」
休み時間、隣のクラスの真尋が教室の外から俺を読んだ。
「西岡ー、客ー」
「ったく、なんだよ」
にこにこな笑顔で手招きしてやがる。
セックスきめてうはうはですか。そーですか。
「なに?」
「世界史の教科書、貸してくんない?」
「いやだ」
「えーっ、なんで」
「忘れた」
「ちぇっ」
「他の奴に頼んだら」
「あっ、俺、貸そっか?」
ちょうど近くにいたクラスメイトが聞こえたらしい。
「えっ、いいの!?サンキュ♡」
「ちょっと待ってて」
「良かったな、じゃーな」
「あ、ちょっと待ってよ、蒼也」
「なんだよ」
「なんか機嫌悪くない?どうかした?」
どうかした、もなにも、お前のセックス...。
いや、だから、なんだ?
コイツのセックス見たくらいで、なにイライラしてんだ、俺。
ふと冷静になってみたら変な感じだ。
別に俺には関係ない話しだしな。
「...いや、別に。腹が減ってむしゃくしゃしてただけ」
「なぁんだ。ああ、朝練があったからかー。あっ、そうだ、お昼、食堂で一緒食べない?」
「...高城、て奴と食わないの?」
「あー、お昼は別々なんだよね。同学年かバスケ部の人達と食べる、て」
「あ、そう」
「ほい、世界史の」
「あ!ありがと!じゃ、お昼にまた来るね!蒼也」
教科書を借り、笑顔でひらひらと手を振って真尋は教室へと戻って行った。
そして、昼休み。
「蒼也ー、行こうー」
「ああ、ちょっと待って」
喋っていたクラスメイトから抜け、入口に立つ真尋の元へ。
「なに食べよっかなあ」
並んで歩き、食堂へ向かった。
機嫌が良さそうに鼻歌を歌う真尋。
朝っぱらから好きな奴とセックスしてスッキリしたんだろうな。
と思うと、何故かまた腹立たしくなる。
....多分、アレだ。
俺はこの方、一度も彼女は出来たことはないし、勿論、興味はあれど、童貞。
真尋に先越された感だろうな...。
俺も早く相手を見つけるべきだろうか...。
「んー、俺、唐揚げ定食にしよっかな。蒼也は?」
「別になんだっていいだろ」
「なにそれー。感じ悪ーい」
券売機の前で隣に立つ真尋が不貞腐れ、口を尖らせた。
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