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第4話
しかし、これにも少年が喰いついて来る。
「あ、寝るの? 俺も寝るから、コロコロ貸して。さっきの女の人の髪の毛とか残ってたらやだもん」
「一緒に寝る気かよ!?」
「うん」
とにっこり。
「俺は男と一緒に寝る趣味はない!」
「あ、差別だ~」
「大体、おまえの話信じたら、おまえは雪うさぎだろ、暖かい布団で寝ても溶けないのかよ!?」
「ふっふっふっ。それが大丈夫なんだよね~。俺の本体はあの雪うさぎだから、あいつが溶けない限り俺はぬくいのだって熱いのだって平気」
と、今度はいたずらっぽく笑う。世の中のショタコンと呼ばれる女性達……いや男たちだってこんな笑顔を見せられたら秒で落とせるだろう。……潤にはきかないが。
「第一潤、俺お客さんなんだよ? お客様を狭いソファで寝かせるつもり?」
ずいと少年が迫って来る。フワフワのウサギの耳が頬に当たり、潤の『現実』と『ファンタジー』の狭間が危うくなる。
ダメだダメだ。これは夢だ、悪夢だ。
朝になればこの雪うさぎ少年は跡形もなく消えているはず。
「ねーね―潤、じゃさ、二人でベッドに寝ようよ。俺体温高いからあったかいよ~。潤のためなら抱き枕になったげる」
元は雪でできてるくせに体温が高いのかよ……。いろいろと矛盾を感じながらも潤は折れた。
「……もういい。俺がソファで寝るよ」
この見た目は可憐で儚い美少年だが、実際はかなり図々しい雪うさぎにベッドを譲ることにした。
何もかも夢であることを期待して。明日の朝目覚めたときには自分がベッドで寝ていて、隣には豊満な体の美女が寝ている現実があることを願って――――。
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