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BACKSTAGE / # 21. ユーゴスラヴィアとチョコレート

 昼前にステフが戻ってきたとき、既にヴィトやドミニクたちクルーはホテルを出、プラハに戻るべく空港へと向かわせたあとだった。スイートルームにはロニーとエリー、そしてルカたち四人が残り、犯人からのコンタクトをただひたすら待っていた。  クロアチア警察からはなんの連絡もなかったが、つまりそういうことなのだろう。ステフたちBIAが動いているなら、下手なことをしてもらわないほうがいいのかもしれないとロニーは思った。もしもステフが正体を明かさないままだったなら、警察署に詰めて喚き散らしていたかもしれないが。  テーブルの脇には朝食のワゴンが置かれたままだった。皆で少しは食べ、使った皿などはいったん下げられていたが、パンやハムとチーズ、フルーツなどはまだ半分ほども残っていた。ユーリは起きているあいだずっとビールやウイスキーを飲みっぱなしで、目はいつもよりもさらに落ち窪み、凶悪な面相になっている。ルカは相変わらず動くことも言葉を発することもなく、ジェシに泣いて脅されやっとスープを少し飲んでくれた。その様子を見てロニーは、ああ正気でいてくれてると心底ほっとした。  そんな調子で、皆ひたすらにテディの身を案じつつも、差し当たりルカとユーリの心配のほうを優先しなければならなかった。結果、ジェシやドリューは自分たちまで参っているわけにはいかないと自分を保っている様子だった。ロニーも同様である。  人間というのは不思議なもので、大変な状況のなかにあっても、傍にいる誰かの心配をしていると気を張っていられるものなのだ。損な役廻りではあるが。 「――テディがどこに連れていかれたのか、まだわからないの?」  わかっていたらここには戻ってきていないのだろうな、と思いつつ、ロニーはステフに尋ねた。ステフはもう自分のことを話したからなのか、昨日までのカジュアルな恰好ではなくスーツを着て現れた。もちろんカメラも持っていなかった。今は上着を脱ぎ、シャツの袖を捲って腕撓骨筋の逞しい前腕を惜しげもなく晒している。 「街頭カメラの映像はかなり範囲を広げてチェックしたんだが、郊外に抜けたらしくて追いきれなかった。カメラの設置がない地域で監禁場所に使えそうな場所を洗いだして片っ端からあたってるが、今のところ怪しいところはみつかってない。できれば要求を知らせてくる前に隠れ家をみつけたいんだが……動きがない限り無理かもしれん」 「クロアチア警察と捜査協力とかしないの?」  ロニーがそう尋ねると、ステフは渋い顔をした。 「……もちろん要請すれば厭とは云われないだろうが、あまりいい考えじゃない。手柄の奪い合いになればテディの身が危うくなる。なるべくなら今の目撃情報待ちのまま、クロアチア警察には必要以上に手出ししないでもらいたいな」 「手柄の奪い合いって、どうしてそんなことになるの?」 「俺らセルビア人とクロアチア人は、まだいろいろすっきりしてないからさ」  ――嘗てユーゴスラヴィアという、多数の民族や宗教が共存する国があった。  何度も国名の改称をし、二〇〇三年に『ユーゴスラヴィア』の名が消え去るまではユーゴスラヴィア連邦共和国といったそこには、六つの共和国、五つの民族、四つの言語、二つの文字、三つの宗教があった。ベオグラードを首都とし、現在のセルビア、クロアチア、スロヴェニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ、北マケドニアで構成され、七つの国境にも接していた。去来する様々な民族と文化による多様さがこの地域の大きな特色であり、また悲劇の要因のひとつとなった。  ユーゴスラヴィア紛争と一口に云われるなかには、スロヴェニア独立に伴うスロヴェニア共和国部隊とユーゴスラヴィア連邦人民軍の十日間戦争、クロアチア独立宣言後、セルビア人勢力がクライナ地方を制圧したことに端を発したクロアチア紛争、二百万人以上の難民、二十万人以上もの死者をだしたと云われているボスニア紛争、当時のセルビア共和国内、コソボ自治州で起こったアルバニア人とセルビア治安部隊のコソボ紛争と、その影響から起こったマケドニア人とアルバニア人の衝突が含まれる。  ステフの云ったのが、クロアチア紛争から後を引いているクロアチア人とセルビア人の不和のこととわかり、ロニーは呆れたように天井を仰いだ。 「ばかばかしい! もう二十年以上も前の独立戦争をまだ引き摺ってるなんて! もうそんな――」 「?」  ステフがその言葉を拾い、顔を顰めた。「ロニー、あんた……クロアチア人か」  ロニーは表情を険しくしてステフの顔を見つめ、きっぱりとした口調で答えた。 「ええそうよ。親はイタリア系だけど、私はスプリトで育ったわ。子供の頃はよく苛められて、私はクロアチア人じゃないのかしらって思ったり、セルビア人のボーイフレンドができたら女友達が離れていったりした。わけがわからなかった。いまもよ。もう連邦も崩壊して紛争も終わったっていうのに、いつまでもセルビア人だクロアチア人だって、なんてくだらない!」 「ロニー、わかった。悪かった、そういうつもりで云ったんじゃない」  ステフがきょろきょろと周りを見まわし、ワゴンの上からサーヴィエットを取り自分に差しだしてきた。それで初めて気づいた――ロニーは涙を零していたのだ。おそらく、たった一言のためにステフがステフでなく『セルビア人』に、自分はロニーではなく『クロアチア人』になってしまったことが、悔しくて。  そのアイデンティティを棄てたいわけではない。そこに属するがために、自分を見る目が変わるのが厭なのだ。 「ロニー。その、なんていうか……俺もあんたみたいな考え方に賛成だよ。歴史は知っておかなきゃならないが、恨みつらみまで引き継ぐ必要はないと思ってる。でもな、実際問題として、未だに個人を個人としてだけ見られない奴はいるんだ。特に軍や警察みたいな、連帯意識の強い組織にはな」  渡されたサーヴィエットで目許を押さえながら、ロニーは頷いた。 「ええ、私だってちゃんとわかってはいるのよ……。でも」  ステフ、あなたには私を私としてだけ見てほしかった。ただそれだけ――そんな言葉が浮かんで、ロニーは内心で驚き、じっとステフを見つめた。  そして、すぐにきゅっと目を閉じ深呼吸した。――今はそんなことにうつつを抜かしている場合ではない。今は、なによりもテディだ。 「ロニー?」  ステフの声に、ロニーは「なんでもないわ」と返し、話を戻した。 「それで、犯人から連絡があったらどうすればいいの」 「それなんだが……もしも監禁場所をみつけられないままだった場合は、やっぱりダミーのフラッシュメモリを用意して、受け渡しのときに包囲して確保するしか――」 「だめよ、テディが危険になるようなことはしないで。おねがい」  そのとき、こんこんとノックの音がした。  なんとなくどきりとし、ロニーが席を立ちかけると、ステフがそれを制してドアのほうへ行った。「はい?」と返事をするとドア越しに「お届け物をお持ちしました」という声が聞こえた。ステフは怪訝そうな表情で一瞬こっちを振り返り、ドアを開けた。 「こちらにサインをおねがいします」  ロニーは立ってホテルの制服を着たボーイに歩み寄り、その封筒を受け取った。  ありふれた茶色い封筒には、なにか手に収まるほどの大きさの硬いものが入っているようだった。直接フロントに持ちこまれたのか、宛名も送り主の名前もなにも記されていない。 「ありがとう、ごくろうさま」  ロニーは差しだされたペンを取ってサインをすると、ボーイにチップを渡した。 「お寛ぎのところ、失礼いたしました」 「持ってきたのはどんな奴だったか、わかるか?」  下がろうとするボーイにステフが訊く。 「申し訳ありません。自分はお届けするようフロントから預かってきただけですので……」 「そうか。いや、いいんだ。ありがとう」  そう云ってドアを閉めると、ステフはスマートフォンを取りだし、どこかへ電話をかけた。 「――俺だ。フロントに現れた人物を洗ってくれ。――そうだ。頼む」  仲間に連絡したらしいステフをちら、と見やり、ロニーはその封筒をまじまじと見た。 「……なにかしら」  硬く厚みのあるなにかは、壊れ物なのか気泡緩衝材(バブルラップ)で包まれている感触がした。 「ロニー、入ってるものの見当はついてる。開けて」  云われたとおり封筒の口を破ると、やはり透明な緩衝材がまず見えた。そのまま取りだし、ぴりぴりと緩衝材を捲ると、中から旧いタイプの折りたたみ携帯電話(フリップフォン)が現れた。 「ステフ、これって――」 「連絡用だな。連中からの贈り物さ」  やはりそうなのか。ロニーはにわかに緊張を覚え、まるで爆発物かなにかのようにそのフリップフォンをそっとテーブルに置いた。  じっと目を離せずにソファに腰を下ろす。すると、それを見計らっていたかのように小さなディスプレイが点灯し、着信音が鳴った。  それまでまったく動かなかったルカや、眠っていると思っていたユーリがさっと顔をあげる。ドリューもジェシも、エリーも皆、息を詰めてこちらに注目していて、ロニーは途惑ったように皆の顔を見比べた。 「え、私がでればいいの!?」 「落ち着けロニー。とりあえず電話にでろ。ただし、俺らBIAのことは云うな」  頷いて、ロニーはフリップフォンを手に取り、まるでびっくり箱を開けるかのように手を伸ばしたまま開いた。ステフがさっと手をだし、スピーカーフォンモードに切り替える。 「……はい」 『――マネージャーのロニーだね。ずいぶんと無茶なことをしたそうじゃないか。怪我はなかったのかな、そうならなによりだ』  思いの外、落ち着いた話し方をするその声に、しかし緊張が走ってロニーはそっとフリップフォンをテーブルに置くと、傍にいるステフの袖をきゅっと握った。 「……テディは無事なの? おねがい、彼を電話にだして。声を聴かせてちょうだい」 『その頼みが聞けるかどうかは、こっちの質問にあんたらがどう応えるかにかかってる。ルカ・ブランドンはそこにいるのかな? いるなら彼に替わってもらいたいんだがね」  ロニーはルカを見た。ルカはやつれきった表情で頷き、坐り直してフリップフォンに顔を近づけた。 「俺だ、ルカだ。テディをだしてくれ、無事を確認させてくれ」 『後だと云ったろう。ルカ、では早速だが……君はプロヴディフで、ある女性からなにか預かったはずだ。それを返してもらいたい』 「……あんたたちがなにか捜すのにあちこち荒らしてたってのはわかったけど、俺はなにも預かってなんかいないんだ。なんのことか、まったく心当たりがない。誤解なんだ、だからテディを――」 『そんなはずはないんだ。ルカ、君がなにも知らないなにも持っていないと言い張るのなら、残念だがジー・デヴィールは大切なベーシストを失うことになる。ツアーはキャンセルするか、新しいベーシストを探――』 「嘘じゃない!! 本当だ、俺はフラッシュメモリなんか預かってない!」  ステフが額に手を当て、視線を彷徨わせながら天井を仰いだ。ルカらしくもない失態に、ロニーもなんてことをと両手で顔を覆う。ユーリもまったく信じられないといった表情で、呆れたようにルカを見つめている。その様子を見て本人も気づいたらしい――しまったと動揺し、慌ててフリップフォンに被さるようにテーブルに手をつくと、ルカは話を続けた。 「待ってくれ! いまのは……間違いだ。わかった、悪かった! メモリは俺が持ってる。あんたらに渡すから、テディには絶対なにもしないでくれ!」  ルカがそう云い、ロニーはステフの顔を見た。ステフはしょうがない、そう云うしかなかったというように首を縦に振ってみせた。 「なあ、だから頼む、テディを電話にだしてくれ! 話をさせてくれ……!」  ルカの悲痛な声に、ユーリも傍へやってきた。ユーリは肩に手を置き、そのままルカを支えるように隣に坐ると、じっとフリップフォンを見つめた。  暫しの間があって、『ルカ……?』と、テディの声が聞こえた。ルカはほっとしたように表情を崩し、「テディ、大丈夫か? 怪我とかしてないか?」と訊いた。 『うん、怪我はしてない。いちおう無事だよ……ルカ、ごめん』 「なにを謝ってんだよ、おまえはなにも――」 『ううん、いままでの……いろいろなこと。想い出の曲のこととか、あんなに怒ってごめん。くだらないことでいっつも喧嘩ばっかりして……罰が当たったんだって思ってる』  なんだかいつもと違う弱気な声に、ルカが途惑ったように顔をあげた。ロニーも思わず不安になった――まるで、もう無事に戻れないと思っているような口振りだ。 「なに云ってんだよ、テディ。そんなこともうどうでもいいから、あと少し辛抱してろな、絶対にたすけてやるから――」 『どうでもよくなんかないよ、俺たちが出逢ったときのことだもん……。でも俺、ちゃんとしっかり憶えてるよ。ルカが俺に放り投げてきた、ルカの大好きな甘ったるいチョコラダのプラリネのことも、片時も忘れたことなんかないよ』  それを聞いて、ルカは怪訝そうに眉根を寄せた。 『ルカも、ちゃんとしっかり憶えてくれてるよね? 俺たちが初めて逢ったあの日――』  話の途中で『もういいだろう』と、さっきの男の声がした。待てという間もなくテディの声が遠くなる。 『ルカ! 信じてるから――』 「テディ! 待ってろな! 必ず無事に――」 『ああ、フラッシュメモリさえ渡してくれればテディは無事に返してやるとも』  たすけるからな、と云いたかった言葉は遮られた。『さて、すっかり長電話になってしまったな。こちらも忙しいのでね。次は受け渡し場所について伝えるから、メモリを用意して待っていろ』 「あっ、おい――」  小さな画面に通話時間が表示される。電話が切られた途端、緊張の糸が切れたようにロニーは息をつきながら、ぐったりとソファに凭れた。その途端「どうだった」と声がし、再び緊張に押されるように坐り直す。ステフは手にしていたスマートフォンをポケットに戻し、ロニーに向いて首を振った。 「フロントに届けてきたのは物乞いだ。金を掴まされて持っていけと頼まれたらしい。用心深いな」 「そう。……ルカがメモリって云っちゃったときはどうしようかと思ったわ」 「まあ、しょうがない。端からその方法しかなかったんだ。ルカ、気にするな」  ステフが云った。ルカは眉間に皺を寄せ、俯き加減に黙ってなにかを考えているようだった。ロニーは口を滑らせたことを悔やんでいるのかと思ったが――その表情はどちらかというと、なにかが腑に落ちないといった感じだった。 「……ルカ? どうかしたの」  ロニーが尋ねると、ルカは「変なんだ」と独り言のように云った。 「あいつと初めて出逢った日、俺が放り投げたのはサモシュのマルツィパンだ。それに俺は甘ったるいやつは苦手で、いつもビターやナッツのチョコばかり食べてて、テディが甘いミルクチョコやキャラメルって分けてた。どうでもよくない、憶えてるって云いながらこんなのおかしいよ。なにか変だ」  ステフも考えこむように首を捻った。 「チョコラダって云ってたな。チョコラダって、セルビア王室御用達って旧王家の看板掲げてやってる、あの店のことか」  それを聞き、ルカがあっと顔をあげた。 「そうだ! 俺、テディにと思ってベオグラードでチョコを土産に買ったんだ……! チョコがあるから持ってけって、バッグを触らせたときにメモリをみつけて持っていったんじゃないかって云っただろ? そのときバッグに入ってたチョコがそれなんだ」 「それは聞いたけど、でも結局テディの荷物のなかにメモリなんてなかったじゃない。本当にテディが持ってっちゃったのかどうかわからないわ。リボンにでも引っかかって落としたとか、失くしたんじゃ……」 「いや、チョコの箱にはリボンはかかってなかったよ。包装紙とシールだけだ」 「パリのホテルには、部屋に落とし物も忘れ物もなかったと確認した。気にはかかるが、とりあえず今はフラッシュメモリのことは置いておこう。テディはいったいなんだって、ルカにしかわからない、事実と違うそんなことを云ってきたんだ?」  ステフの言葉に、ルカが「チョコラダ……、セルビア?」と呟く。 「そうだ……ひょっとしたら、テディは自分の居場所を知らせてるのかもしれない。いや、きっとそうだ! テディは攫われたところから移動してクロアチアを出て、セルビアにいるって云ってるんだ……!」 「ベオグラードにある奴らの根城はずっと監視してるが、テディがそこに運ばれたらしい形跡はない。まあ奴らがセルビアに戻った可能性はなくはないが……しかし拉致した連中が、テディに目隠しもなにもしないで連れていったとは思えない。仮に本当にセルビアにいるとして、電話にだしたってことはそれがばれていないと連中は思ってるはずだ。もしその推測が当たってるなら、なんでテディはそれがわかった?」 「……TVかなにかの音を聞いたとか? あいつは子供の頃あちこち転々としてて、ベオグラードにいたこともあるんだ。確かセルビア語も話せるって云ってたぞ」  ルカがそう云うのを聞いて、ロニーはそうに違いないと目を輝かせた。が――ステフが苦い顔で首を振るのを見て、ああそうかと肩を落とす。 「それはないな。セルビア語はクロアチア語やボスニア語とほぼ同じなんだ。セルビア語が他と違うのは、キリル文字とラテン文字の両方を使ってるってことだけだ」 「キリル文字で描かれた看板かなにかを見たのかも……」 「そんなところがどれだけあると思ってるんだ。そう遠くないところに限ったってスルプスカかモンテネグロか……、セルビアに戻って根城とは別の場所にテディを監禁してるのかもしれないし、遠くても発端のブルガリアって線もなくはないが、それを云いだしたらモンテネグロも薬物犯罪の重要な地点だ。どれが正解かなんてわからない」  しかし、ルカは「違う」とステフの意見を退けた。 「ブルガリアでもモンテネグロでもない。テディがああ云ってきたなら絶対セルビア、それもベオグラードなんだ。あいつは普段は無口だし、滅多にはっきりものを言いきるってことはないけど、そのかわり偶になにかを指摘したりするとそれは必ず正解なんだ。少しのあいだだったらしいけどベオグラードに住んでたことがあって、セルビア語ができるあいつが、いいかげんなことを伝えてくるわけがない。俺はテディを信じる」  迷いも曇りもない真っ直ぐな目で、ルカはきっぱりと云った。それを受け、真摯な表情でステフも頷く。 「わかった。ルカ、俺もおまえとテディを信じる。ベオグラードに絞ってもう一度、徹底的に洗い直すとしよう。国境を超える道路付近から市街のカメラの映像をチェックして、組織の構成員が姿を見せた辺りを片っ端から捜索する。任せとけ、奴らもベオグラードが本拠地かもしれんが、こっちにだって庭だ」  僅かに射した希望の光と、頼もしいステフの言葉に、ルカとロニーはほっとして顔を見合わせた。

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