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第1話 新天地
森瀬史哉はタクシーの運転手に代金とチップを払うと、大きなキャリーケースとともに車を降りた。
目の前には有刺鉄線が張り巡らされており、侵入も脱走も阻んでいる。
大小の建物が立ち並び、空には数えきれないほどの飛行物体が浮かんでいる。
そこを厳重に守っているのは、小銃を抱え迷彩柄の軍服を着ている門番だ。
史哉はキャリーケースを引き摺って彼の下へ行くと、紹介状とパスポートを提示した。
門番は片眉をひょいと上げて小さな詰め所の中にいる同僚に大声で何かを言い、大声で返事が返ってくるとサムズアップして通してくれた。
あらかじめ送られてきた地図を見ながら広大な敷地を歩く。
すれ違うのは迷彩柄の軍服を着た軍人ばかりで、さらに言えば日本人らしき外見の者は皆無だ。
完全なアウェイ感に胃がキリキリしてきた。
地図のおかげで目的地までは迷わずに行けた。
目的地の建物は、何の変哲もない十階建てのビルだ。
その入口に立って深呼吸をし、史哉はなぜ自分がここにいるのかを思い返した。
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