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第2話 エイリアンの受け入れ
一ヶ月前のことだ。
某国の軍事施設の上空に突如として現れた巨大な飛行物体。
それはひとつだけでなく、大小合わせて百を超える数だった。
当然、未確認飛行物体――つまりUFO――であると世界中が大混乱に陥った。
UFO、そしてエイリアンは実在したのだと興奮するマニアたち。
世界の破滅だと絶望する者たち。
反応は様々であったが、史哉はそれどころではなかった。
なぜなら、自身が経営するメンズを含むランジェリーブランドの新作発表が迫った修羅場の真っ最中であったからだ。
史哉が経営する「drunk perfume」は日本を代表するランジェリーブランドで、今や世界でも知らない者はいないほど有名なランジェリーブランドだ。
幅広い年代、一般人からアスリートに対応したランジェリーを扱い、清楚からアダルトなデザインまで網羅している。
史哉は経営者でありながらランジェリーデザイナーでもあった。
結局、春の新作発表は当面の間延期となり、史哉も含め社員たちは迫る期日に追われない喜びとともに世界の変容と発表がいつになるかわからない状況に阿鼻叫喚した。
その間にも連日国連と各国の政府からエイリアンについての説明がなされ、ネットもテレビもラジオもその話題で持ちきりだった。
そんな中、史哉は突然外務省職員を名乗るスーツの集団に何の説明もないまま荷造りさせられ、半ば誘拐されるような形で首相官邸に連行された。
そこで史哉はとんでもない依頼を受けることになった。
エイリアンの下着をデザインすること。
それが史哉に与えられた課題であり、拒否権はなかった。
そのまま空港に向かい、某国へ向かう飛行機に乗せられてようやく詳細を説明された。
報道されている通り、エイリアンは昔から地球人と交流しており、混乱を避けるために各国の政府高官にしか存在を知らせていなかった。
そして、存在を認知されないように某国の軍事施設がエイリアン専用の空港となっており、エイリアンたちの技術でUFOを隠していた。
ところが、このエイリアンたちが持ち込んだ空間認識を歪ませる装置が突然故障してしまい、全世界にエイリアンの存在が明るみになってしまった。
そこで、開き直って堂々と地球にエイリアンを招致することになった。
だが、困ったことに服を着る文化がない星から来ているエイリアンもいた。
その星やUFOの中でなら構わないが、全裸で地球を歩き回るのはいただけない。
そこで、翻訳機器制作などに加えて服もエイリアンたちと共同開発することになった。
そこで、史哉は世界的にも有名なランジェリーデザイナーであるため、世界のお偉いさんからの指名があったのだ。
史哉としては寝耳に水だ。
だが、ここまで外堀を埋められてはやるしかなかった。
史哉は諦めて機内で食事や睡眠をとり、明日から始まる一世一代の仕事に備えた。
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