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第7話 サムの熱

 肩紐が腕から抜き取られ、胸が顕になる。  布越しに引っ掻かれたそこは、ぷっくりと膨らんで艶かしい。 「ここ、赤くなったな」 「サムが触るからだろ」 「そう、俺がこうした」 「え……ひっああっ……んっ!」    サムは意地悪く笑うと、躊躇いもなくそこにしゃぶりついた。  最初からじゅうううっと強く吸われ、固くした舌でぐりぐりと嬲られる。  もう反対の尖りはぎゅっとつねられ、捏ねくり回される。  痛いはずなのに、なぜか突き抜けるように気持ちいい。 「ここも、こんなに腫れてる」 「え、嘘……なんでっえあっ……んんっ……!」  サムが勃ち上がってパンティのウエスト部分からぴょこりと頭を出している史哉のペニスを、レースのパンティごと掴んで上下に扱いた。  その度にレースのパンティから亀頭がチラチラと見え隠れする。  すぐに先走りが溢れ、パンティもサムの手も濡れてグチュグチュと隠微な音が聞こえてきた。  乳首もペニスもしつこく攻め立てられ、史哉はなぜこんなことになったのかも考えられなかった。  ただひたすらに甘い施しが快感に変わり、それを追いかける。  快感で滲んだ視界にサムの顔が映る。  熱に浮かされたその顔は壮絶な色気を放っていた。  そして、彼の下半身は史哉と同じく興奮していた。  スリットから飛び出た巨大なペニスは史哉と同じく赤黒い。  だが、ペニスと共にピンク色の触手が四本、うねうねと動いていた。 「そ、れ……」 「これが俺たちの生殖器だ。地球人とは少し違うがな」  サムが史哉の膝裏を手で押して足を折り曲げて尻を浮かせると、二本の触手が怪しく動いて尻に食い込んでいるパンティをずらした。  すると、脱毛して毛のないアナルが現れた。  粘液を纏った触手はぬるりとそこを撫でると、マッサージをするようにクニクニと揉んできた。  くすぐったいような、気持ちいいような不思議な感覚は、ペニスへの刺激で掻き消される。  はしたない水音が耳を犯している間にも、触手はつぷりとアナルに侵入し、プシャッと中に粘液を吐き出して滑りを良くする。  小刻みに震えながらピストンされ、わけがわからなくなる。  同時にサムから息をするのもやっとの激しいキスを贈られる。  苦しいはずなのに、ざらつく舌と舌が擦れ合うのが気持ちいい。  快感に酔いしれた史哉は自ら舌を突き出してサムのものに絡める。  キスでガラ空きになった乳首は、残りの二本の触手が代わりを勤めている。  勃ち上がった乳首にくるりと一周巻き付くとリズミカルに締め付けられ、突き出した先端は触手の先でカリカリと擦られる。  全身の性感帯を同時に刺激され、史哉は快楽に堕ちた。  サムがなぜこんなことをしてくるのかも、どうしてこんな状況になったのかもどうでもよかった。  今はただひたすら快感を追い求める獣となった。 「あっ……ああ、あ、ふっんん……さむ、サム……」 「何?」 「もっと、もっとちょうだい、気持ちいいの……」 「仰せのままに」  サムはペニスを弄っていた手とアナルを弄っていた触手を交代させた。  太いサムの指がズズッと中に入ってくる。  触手が解していたために、指一本は簡単に入った。  グニグニと探るように腸壁を押し広げると、サムはすぐに二本目を挿入した。  それでも余裕がある。  サムはペロリと唇を舐めると、性急に三本目を追加した。  乳首とペニスの快感に支配された史哉は、苦しさはあれど痛みは感じていなかった。  それよりも、さらに奥の、疼いているところに刺激が欲しい。  史哉の腰は快感を求めていやらしく揺れていた。 「そんなに俺の指が気持ちいいかい?」 「うん、気持ちいいっ……もっとちょうだい、もっと奥に……っ!」 「フミヤがこんなに淫らで可愛いなんて知らなかったよ。上手におねだりできたから、俺のをあげる」  サムは指を引き抜くと、先走りで妖しく光る巨大なペニスに触手の粘液を纏わせて史哉のアナルにあてがった。  そして、それを慎重に沈めていく。 「んぐっ……あっふ……おっきいぃ……」 「煽るのが上手いな。そういうところも堪らないっな!」  史哉のアナルには入りそうにないサムのペニスがどんどん中に入っていく。  史哉はそれを凝視してアナルを締め付けてしまった。  だって、こんなエロい光景に興奮しないやつがいるのか?  陰毛のないアナルの皺がひとつもなくなるくらい押し広げられ、血管の浮き出たサムの逞しいペニスが小刻みにピストンする度にピンク色の媚肉が捲れて顔を出す。    しかも、ペニスが腸壁を突くと腹側の浅いところが刺激されて突き抜けるような経験したことのない快感が走る。  これはきっと、あの有名な前立腺だろう。  トぶように気持ちいいだとか、オンナにされたとかはよく聞くが、こんなに気持ちいいなんて聞いていない。  体が勝手に震え出す。 「ああっあ、あ、ひんっ……あ、だめ、そこぉっ……!」 「ん? ここ?」  優秀なサムは前立腺のことだと理解すると、だめと言っているのにもかかわらず、そこを重点的に攻め立てた。  奥を目指しながら前立腺を刺激されるのはとんでもなく気持ちよかった。  触手でペニスも刺激され、史哉は暴発寸前だった。 「んあ、あああっ……、も、イクッ、イクッ」 「まだダメだよ」 「あああああっ⁉︎ やっ、いや、だめっそこはだめぇ!」  触手が史哉のペニスの根本をぎゅっと縛った。  それだけに飽き足らず、残りの一本はきゅっと細くなると尿道に入り込んだ。  痛みはない。  だが、狭いそこを逆流する奇妙な感覚がさらに頭をおかしくする。  触手は史哉の知覚できない奥まで進んでいく。 「ん、この辺、かな?」  奥まで入ったサムのペニスが勢いよく前立腺を押し潰しながら奥に突き立てられた。  それと同時に尿道から入った触手が内側から前立腺に刺激を与えた。 「ひッ、ああああああああああ⁉︎」  尿道から入った触手が前立腺を内側から振動して刺激しているのだ。  精巣から精液が吹き出すが、触手に堰き止められて射精できない。  史哉は生まれて初めてドライで達した。  頭が真っ白になり、視界が明滅する。  体はガクガクと震えて明らかにイッたとわかるのに、サムはガンガンと史哉のアナルにペニスを突き入れる。 「やああっ……やら、サムっサムっ……イッてる、イッてるからっ……待って、止まってぇえええっ!」 「ごめん無理だ。腰が止まらないっ……ああクソッ……気持ちいい!」  史哉は立て続けにイッた。  右も左ももうわからない。  ただ苦しいほどの快感が襲いかかってくる。  意味のある言葉はもう紡げなかった。    ひたすら甘い悲鳴を上げ、逞しいサムの背中を掻きむしった。  だが、彼の肌に浮かぶ鱗がそれを阻む。  縋るものがなくパニックになっていると、優しくキスを落としたサムがその首に史哉の手を導いた。  グッと引き寄せると、サムは激しく腰を動かしながらキスをしてくれた。  髪を、耳を、首筋を撫でられ、雷のような突き抜ける快感と穏やかな波のような優しい快感に翻弄される。  アナルに温かいものが吐き出されるのを感じると同時に触手が勢いよく引き抜かれ、勃起しているペニスの鈴口からトロリと力無く白濁を漏らすと同時、史哉は快感に呑まれて意識を飛ばした。  目が覚めると、サムの心配そうな顔が飛び込んできた。  シーツは新しいものに取り替えられ、体は綺麗に拭かれて布団が掛けてある。  体が、特に腰と尻が怠く思いが、それ以外は特に不調がなかった。 「フミヤ、ごめん」 「それは何に対して?」 「無理矢理体を奪ったことだ」  サムは悲壮感漂う顔で勢いよく土下座した。  勢いが良すぎて、床に頭を打ちつけている。  史哉は鈍い音に顔を顰めて体を起こしたが、幸い流血はしていないようで胸を撫で下ろした。  だが、史哉はサムから謝罪を受ける謂れはなかった。  最初こそ戸惑いが勝ったものの全力で拒否したわけではないし、途中からサムを煽り快楽に溺れた。  それで一方的にサムから謝罪を受けるなんて都合が良すぎる。 「俺も途中から求めてたわけだし別にいいよ」 「よくない!」  サムは土下座した時と同じく、勢いよく顔を上げた。  その顔はよく見ないとわからないが、少し赤くなっているような気がする。  サムはベッドの上に無造作に放り出された史哉の手を取ると、恭しくその手の甲に口付けた。 「先に体を奪って何を言っていると思われても仕方ないが、俺はフミヤが好きだ。愛している。だからどうか、私と生涯を共にしてほしい」 「は、え……?」 「こんなこと言われても困らせることはわかっている。でも、他のやつの裸を見に行くと言われて自制ができなかった。本当に申し訳ない」 「ちょっ……ちょっと待って、いつから?」  突然の告白に史哉の体温は急上昇した。  最後に彼女がいたのは七年前。  その時は彼女の浮気が原因で別れ、それ以来恋愛事はとことん避けていた。  添い遂げる人などいらないと思っていた。  それなのに、こんなに真っ直ぐ真摯に愛を囁かれて、うっかり心がぐらついた。 「わからない。でも、初めて会った時から気にはなっていた。もし、少しでも気持ち悪いなんて思っていないなら、俺とのこの先を考えてほしい」 「……わかった。考える」  サムに対して恋愛感情はない。  だが、彼に抱かれて気持ち悪いとは思わなかったし、気持ちを伝えられて嫌な気はしない。  中途半端な気持ちではサムに申し訳ない。  時間はかかるかもしれないが、史哉はサムの気持ちに向き合うことにした。

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