39 / 153
第一章 赤紫の炎⑧*
マティアスは本能の赴くままにウィルバートの唇に自身の唇を寄せた。唇を押し付けるだけのキス。それでも鼓動が激しくなり全身が熱くなる。
ところが、突然合わさった唇にぬろっと何かが這い回った。
「んっ……!」
驚いて離れようとしたが、ウィルバートが肩を掴みそれを許さない。それがウィルバートの舌だとわかった瞬間、顔から火が出そうなほど熱く興奮した。
マティアスは力を抜き、されるがままに唇を差し出した。唇の合間をウィルバートの舌が辿り、薄く開いた歯列から中に侵入してくる。その侵入者はマティアスの舌を見つけるとその舌に絡み付いてきた。
「んあっ、ふっんあ……」
初めての感触。全身が震えるほど気持ちいい。ずっと勃ちっぱなしのマティアスの中心部は、さらに堅く天を仰ぎ、薄い寝巻きを押し上げていた。ウィルバートがそれに気付き寝巻きの裾から手を滑りこませて、マティアスの中心部を握り込む。
「んっ、んあっ、んんっ!」
軽く唇を舐めながら、股の間のソレもゆるゆると扱かれ、マティアスはあっという間に達した。
「はあっ、はあっ、ウィル……」
「気持ちよかったですか?」
そう耳元で囁かれ、マティアスはウィルバートの胸に顔を埋めながらこくりと頷いた。しかし熱は収まりそうにない。ウィルバートの腕に包まれているだけで腹の内側がグツグツと煮えた滾っているように熱が上がってくる。
再び頭をもたげ始めたソレをウィルバートが再び手で包み込む。
「はぁんっ」
「収まりませんね……」
ウィルバートはそう言って、顔をマティアスの脚の間に持っていき、あろうことかマティアスのその中心部を口に含んだ。
「ウィルッ!? あっ、あっ、ダメっ! そんなっ」
ウィルバートの口腔内に包まれ、さきほどのキスと同じように舌が這い回る。今迄に経験したことのない脳を蕩けさせるような快楽だった。
「あんっ……あっ……あっ……」
鼻にかかったような甘いが止められない。さらに奥まで咥えられぢゅっと、吸われるともうなすすべがない。
「はっ! あっ、んんっっ!」
マティアスはウィルバートの口の中に精を吐いてしまった。ウィルバートはそれを迷うことなく嚥下する。
「ウィル……」
ウィルバートの喉仏がゴッと動く様が男らしくそれでいて艶ぽく見えた。
もっと欲しい。この男ともっとくっつきたい。一つになりたい。
そんな想いが止めどなく溢れ出てくる。
マティアスは再びウィルバートに抱きついた。
「ウィル、好き……好きだよ、ウィル」
ウィルバートの頬や顎にチュッチュッとキスをしながら愛の言葉を囁き続けた。ウィルバートはマティアスの背中を撫でながら溜息をつき呟く。
「収まらないか……」
残念そうに困ったかのようにそう言われマティアスは猛烈に悲しくなった。
ともだちにシェアしよう!