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新たな日常 ⑦

「――椎名?」 抱えていた膝に乗せていた額をびくりと跳ね起こすと、首の後ろがミシリと痛んだ。 色々と考えてるうちに、かなり本格的に眠っていたらしい。 「ッ、お、おかえり」 「うん、ただいま」 そう言って、微かに微笑む。 ……これは家に居る時の露木君だ。やっぱり、オンとオフの差が激しすぎる! 「い、今何時……?」 「ん? もうすぐ20時かな。ごめん、遅くなって」 「露木君のせいじゃ無いから。えっと……何か食べる? それともお風呂先にする?」 「……っ、」 露木君の息を飲む音が聞こえて、思わず首を傾げる。 「なに?」 「……いや、なんかいいなと思って」 ボソボソと、歯切れ悪く零した露木君。その言葉の意味がわからなくて、俺の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。 「ま、いいや。ちょっと疲れたから、僕は先に部屋に戻るよ」 つ、疲れるような事を何かして来たのだろうか!? めくるめく卑猥な妄想が脳内に一気に広がり、それと同時にモヤモヤとした気持ちが大きく膨れ上がる。 「……何か今、変な想像したでしょ」 「してない! 全然してないから!」 俺の思考を読んだかのタイミングでジトっとした視線を向けられ、俺は慌ててブンブンと首を振って否定した。 「そう? でも、安心しなよ。椎名が思ってるような事は何もしてないから。今日は、どうしても手に入れたいものがあったんだ」 証拠を見せるように、露木君は手に持っていたやや大き目の箱を俺の目の前掲げて見せた。 パッケージからして、パソコン関係の何かだろうか。しかも、結構大きめの。 少なくともバイトもしていない一般的高校生が買うような代物ではないことは確かだ。 「安心した?」 顔に出したつもりはなかったのに、露木君は俺の表情から何かを察したようにそう聞いて来る。 「べ、別に……俺は……っ」 「僕がエッチな事して来たんじゃないかって疑ってたんじゃないの?」 「……っ、ち、違うから!」 図星を突かれて思わず言葉に詰まる。そんな俺の反応に、露木君はククッと喉の奥を鳴らした。 「椎名って、本当にわかりやすいよね」 「な……っ」 反論しようと言葉を発する前に、露木君は俺の頭をポンとひと撫でして、自分の部屋へ戻って行った。その後ろ姿を見送り、俺は力が抜けたみたいにズルズルとソファにへたり込んだ。

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