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新たな日常 ⑩

いやいや、そんなわけ無いし。聞き間違いだ、きっと。 『え!? なになに? その子のお家に置いて貰ってる?』 『え、どゆこと?』 『まさかの同棲!?』 コメント欄が今までで一番の勢いで加速する。 『まだ、気持ちを伝えてないから本人は知らないんだけど。本当に大好きで仕方なくて、僕の理性が持つかちょっと心配なんだよね』 「!?」 色気を含んだ低い声がとんでも無いことをサラッと言い放ち、それに呼応するようにコメント欄は祭りの様相を見せ始める。 『え? なになに? まさかの告白!?』 『Naoに思われるなんて、羨ましい〜』 『私もNaoに告られたい』 そんなコメントが画面を埋め尽くしていく。 俺は、もう完全にパニックだ。だって、こんなの信じられない。 そりゃ。もしかしたらそうかも? なんて思ったこともあるけど……。こんな形で露木君の本心を聞くことになるなんて思ってなかった。 「ちょ……ちょっと待って、動悸がヤバい」 俺の心臓はさっきからバクバクしっぱなしだ。だって、露木君は俺の家に居るんだよ!? しかも、扉隔てた向こう側に! だめだ、とてもじゃないけどこれ以上は聞いていられない。俺は、動画を閉じようとカーソルを動かす。でも、手が震えて上手く動かせない。 「は……」 こんなの、いきなりすぎて、どうしようもない。オーバーヒートで、耳とか鼻とか色んなとこから煙を吹きそうだ。 俺の頭上で、今きっと星がクルクルと回っている。そんな気がする。 驚きすぎて、腰が抜けそうで、俺は椅子によろよろと座り込み天を仰いだ。 露木君が好きな人って、俺……!? 前からって言ってたけど、いつから?  学校でのあの態度の何処が!? 全くそんな素振りなかったのに。

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