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初めての朝は

目覚ましが鳴る前に目が覚めた。 ああ、なんか気持ちがいい。ホワホワと安心するし、このまままた、眠ってしまいたくなる。 まぶたを開けたり閉じたりしながら、もぞもぞと温かい方へ鼻先を擦り寄せた。 すると、「くすぐったいよ」と笑い交じりの声が囁く。 「おはよう、椎名」 爽やかな朝の挨拶に、「おはよ」と答えてからようやく自分の置かれている状況を把握する。 そうだ、俺……ゆうべと言うか、明け方近くまで露木君と――! 「…………ッ」 じわじわと、昨日の事を思い出す。濃厚過ぎる昨夜のあれやこれやが脳裏にフラッシュバックしてきて恥ずかしくて、露木君の顔がまともにみられない。 あの後、一体何回したのかもう覚えていない。ただひたすらに互いを求めあって、気を失うように眠りについて、起きたらまた――。 「あのさ……、そんなに意識されるとなんだかこっちまで恥ずかしくなるよ」 「ご、ごめん……」 気まずい空気が居た堪れなくて、思わず謝罪の言葉を口にするとクスっと笑ってから頭をくしゃくしゃと撫でられた。 それからベッドを降りて、床に散らばっていた服を此方に投げて寄越す。 「取り敢えず、服着なよ」 そう言いながら、ふいっと顔を反らしてリビングに続くドアを開ける。 その耳が真っ赤に染まっているような気がしたのは、俺の気のせいなんかじゃないはずだ。 ――もしかして、露木君照れてるのかな。  そうわかった瞬間、かーっと自分の頬も熱くなるのがわかった。 どうしよう、なんか俺まで……。 「と、とにかく!早く服着なってば」 照れ隠しのようにそう言って、勢いよく閉められたドアを見つめ、自然と頬が緩んでしまう。

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