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真実は ⑨
……結局あれから何度、抱き合ったのかわからない。ぼんやりとした目で壁の時計を見上げると、
2:50と言う文字が目に飛び込んで来る。
荒い息を吐きながら、汗ばんだ身体で抱き合う。
「さ、さすがにちょっと……。ヤりすぎだって。明日の体育確かバスケって言ってたのに。腰立たなかったらどうしてくれるんだよ」
長距離マラソンでも走ったみたいに、身体が重くて、疲れているのが自分でもわかる。頭の中もぼんやりとしたままだ。
露木君の手が動いて、額にかかる前髪を撫でるように梳いてくれる。
「言っただろ? 僕がどれだけキミを愛してるかもう一度教えてあげるって。まだまだ足りないくらいなのに」
「……っ」
ギュッと俺を強く抱き締めながら耳元で囁かれ、思わず顔が赤くなる。
「それに、環があんまりにも可愛いから、ついね」
そんなの、俺だってそうだ。
露木君に触れられるとどこもかしこも気持ちよくて、もっともっとと際限なく求めてしまう。
でも、さすがにもう無理。
「も……っ、もう、今日はしないからね! 絶対!」
「え~? それは残念」
冗談には聞こえない声色に思わず頬が引き攣る。
こんなの何回もしてたら、俺、死んじゃわないだろうか。
「でも、まぁ……、環のお願いなら仕方ないか」
露木君は、密着させていた身体をそっと離すと、俺の隣にゴロンと横になった。
そして、腕を伸ばして、何も言わずに俺をじっとみつめてくる。
これってもしかして、頭をその腕に載せろって事?
「え、と……こう?」
おずおずと露木君の腕に頭を乗せれば、嬉しそうに笑った露木君が、俺の身体を引き寄せて、抱き枕みたいにそのままぎゅっと抱き締めてくる。
「ちょっと暑いね」
「そりゃそうだよ。もうすぐ7月だもん」
いくらクーラーを付けているとは言え、大人体型の二人が一つのベッドで密着してたら暑いに決まってる。
「ん。でも、こうしてたいから」
甘えるように言われて、俺は思わず黙り込む。
こうやって露木君に求められるのは嫌じゃない。
むしろすごく嬉しくて幸せな気分になるんだから、俺って結構ちょろいのかもしれない。
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